突然の交通事故により一時的に働けなくなったといった時、その間の休業による金銭的損失を、損害賠償として補償してもらうことができるのでしょうか?
休業補償とは
交通事故により入院することになれば、多くの人は仕事をすることができません。この期間に被害者が本来なら得ていたはずの所得を、損害賠償の形で加害者に請求することができます。これを「休業補償」と呼びます。
休業補償の計算方法
休業補償の請求においては、本来なら被害者が受け取っていたはずの収入を、損害賠償として補填する意味で支払われます。そのため、補償額については実際にその人が所得として受け取ったいた金額を元に計算されます。日給や時給など、時間で計算できる収入については簡単にはじきだす事ができますが、収入が安定しない人の場合は少し計算が複雑になります。多くの場合、事故以前の3ヶ月の収入をもとに計算したり、前年の年収を参考に計算されます。
被害者が飲食店を経営しており前年の収入が400万円あったというケースでは、その400万円がそのまま休業補償として補償されます。ただし、被害者がいなくても家族によってある程度経営が維持され、アルバイトを1名雇用することによって前年と同じだけの収入が得られるといったケースでは、そのアルバイトを雇うために必要となった人件費が補償の対象となります。
しかし、自営業の場合は事故と収入との因果関係や、損害の額については簡単に計算できるものではありません。そのため、その状況によって様々な判例が考えられます。
労災から休業補償が支払われるケースでは
被害者が会社員の場合、労災により給与支給額の6割が支給されるといったケースでは、労災の支給分を除いた給与支給額の4割を休業補償として加害者に請求します。
この時、労災が支払った給与支給額の6割については、その後あらためて労災から加害者に請求することになります。つまり、結局は加害者が全額休業補償を支払っている事になります。
アパート賃貸料や配当金は休業補償の対象とならない
被害者の収入がアパートの賃貸料や株式投資による配当から得られているといったケースでは、被害者が入院したからといってすぐに収入が無くなるわけではありませんから、休業補償の対象となることはありません。
ただし、デイトレーダーなど被害者が投資売買を行えないことによって、収入がまったく無くなってしまうといったケースでは、前年の年収を元に休業補償が計算されます。