欧州で高い人気を誇るF1GPですが、人の集まる場所には自然に多くのお金が流れ込んで来るものです。そこに出場するF1ドライバーの年収も、当然ながら想像を絶する凄まじい額となります。ただし、F1ドライバーが自分の収入を公にする事はタブーとなっているらしく、我々庶民がその正確な額を知る術はありません。
そのためこれから紹介するF1ドライバーの年収は、あくまでもマスコミが予想した推定額にすぎません。
アイルトン・セナが、マクラーレンから受け取った契約金
例えば、伝説に残る名F1ドライバーのアイルトン・セナは、1991年当時、マクラーレンと23億円の契約金で合意したという逸話が残っています。
F1ドライバーの収入は、このようなチームとの契約金だけではありません。個人的なパトロンからの収入に加えて、パーソナル・スポンサーと呼ばれる企業と取り交わされる個人的なスポンサー契約があります。そのほかにも、CM出演料や講演、サイン会などの収入も地味ながらF1ドライバーの収入に貢献しています。
パーソナル・スポンサーとして、以前絶大な力を発揮していたのがタバコメーカーです。しかし、現在は欧州でタバコ広告が禁止されていることもあって、あまりタバコメーカーと契約するチームやドライバーはありません(ロゴのカラーリングだけを残したり、欧州以外の地域でだけタバコの広告を入れるといったパターンは現在でもみられます)。
このタバコメーカーの広告は、ドライバーのレーシングスーツにタバコと同じカラーリングを施したり、もしくはタバコの銘柄を染め抜いたワッペンを付けたり、マシン自体のカラーリングをタバコと同じものにしたりといった手法が使われていました。
例えば、1989年当時、アラン・プロストは、タバコメーカーのマルボロと10億円のスポンサー契約を結んでいました。この時、アラン・プロストがフェラーリとのチーム契約で得ていた契約金が7億ですから、いかにパーソナル・スポンサーのスポンサー料が桁違いに多いか分かると思います。
F1の広告には絶大な宣伝効果がある
当時の日本人F1ドライバーの中嶋悟は、セイコーエプソン(電子機器メーカー)とPIAA(自動車関連部品メーカー)とパーソナル・スポンサー契約を結んでいました。
当時、車を持っていなかった秋ろーは、PIAAがなんの会社か分からないにも関わらず、「きっと世界的に有名な一流企業に違いない」という勝手な思いを抱いていました。
また普段タバコを吸わないにも関わらず、「マルボロってかっこええな~」という安直な思い込みから、味も分からないのに何箱か吸ってみたりといった事もありました。
このように、パーソナル・スポンサーの効果は、F1の魅力を借りて絶大な効果を持っていました。だからこそ、未成年への影響を考えてタバコ広告が禁止されている地域があるという事も納得がいきます。
その他に、印象に残っているパーソナル・スポンサーといえば、アイルトン・セナの「ナシオナル・バンコ」があります。ナシオナル・バンコはブラジルの国内銀行で、セナのカート時代から地道にスポンサー活動を続けていました。ナシオナル・バンコのスポンサー料はF1の相場からいうとかなり安いのですが、カート自体からお世話になっているということもあり、セナ自ら目立つ場所に貼り付けさせていたという逸話が残っています。