未成年者が交通事故を起こした時、一番問題となるのは、その未成年者に損害賠償を支払う能力が無いケースです。
また、未成年者に限らず、加害者に支払い能力の無い場合も同様に、「誰が損害賠償を払うのか?」という問題が発生してしまいます。
もちろん未成年者であっても、自賠責保険や任意保険に加入していれば、その契約の範囲内で被害者に損害賠償が払われます。
ここで問題になるのは、加害者が保険に加入していなかった時や、損害賠償額が保険の契約額以上となってしまった場合です。
目次
- まずは運行供用者に支払い義務が生じる
- 親に損害賠償の支払い義務が生じる場合
- 親が車のコストをどれだけ負担していたか
- 支払い能力の無い未成年者の場合
- 雇用主には「使用者責任」が問われる
まずは運行供用者に支払い義務が生じる
加害者に支払い能力が無い場合、次に損害倍書の支払い義務が生じるのは、加害者が運転していた車の「運行供用者」です。
運行供用者とは、その車を日頃から自由に運転する事ができ、その車によって利便性を享受している者のことです。例えば、その車の持ち主であったり、家族として普段勝手に使用できる立場にある人、または、その車を無償で借りることの出来る人などがこれにあたります。
親に損害賠償の支払い義務が生じる場合
例えば、親の車に勝手に小学生が乗り込み、事故を起こしてしまった場合はどうなるでしょうか。
この場合は、親がしっかりと自動車の鍵を管理していなかったとして、親の監督責任が問われ、親に損害賠償の支払い義務が生じます。
ところがある程度の年齢になり、自分名義の車を持っている場合は判断が難しくなります。
親が車のコストをどれだけ負担していたか
成人間際の子供を親が四六時中監視しているわけはありませんし、子供にもそれなりの責任能力があります。このあたりの責任能力の判断は、子供の年齢などが考慮されてケースバイケースで判断されます。
ただ、実際にこの子供が使っていた車が親のお金で購入されていたり、燃料費や税金などランニングコストの支払いを親がしている場合は別です。この場合は、親が子供の運転していた車の「運行共用者」としてみなされ、損害賠償の支払い義務が生じます。
支払い能力の無い未成年者の場合
未成年者といっても車やバイクの免許を持っているのですから、最低でも16歳か18歳には達しています。また、道路交通法により交通ルールを守り、自動車の運行に責任を持つ証として運転免許証を交付されていますから、事故の責任が問われないという事はありません。
といっても学生など未成年で働いていない人については、定期的な収入がありませんので損害賠償の支払いを求めることはほとんどの場合不可能でしょう。
雇用主には「使用者責任」が問われる
事故を起こした時、加害者が仕事に関連した業務で車を運転していた場合は、雇用主には「使用者責任」として損害賠償を支払う義務が生じます。
また、事故の時に使っていた車が会社の所有車である場合、その車の「運行供用者」として、会社に損害賠償の支払い義務が生じます。