電池といえば「最新技術」というイメージが強いですが、その歴史は以外に古く、紀元前250年頃まで遡ることになります。人類で一番最初に電池を開発したのはイラク人といわれ、その電池の名前は「バクダット電池」と呼ばれています。バクダット近郊の「ホイヤットランプファ」という遺跡で発掘されたためこの名前で呼ばれるようになりました。
ただ、この「バクダット電池」については、電池であるという意見と、それを否定する意見の2つが存在しています。
日本で初めての電池を作ったのは佐久間象山
所変わって日本では、1840年に佐久間象山がオランダの百科全書を元に作ったといわれる「ダニエル電池」が最初の電池になります。
これら初期の電池は、湿式の原始的な電池(湿電池)が使われており、性能も現代の電池と比べると大幅に劣るものでした。構造は電解液の中に電極を2つ浸したモノとなっています。そのため、環境やレイアウトによって大きく性能が変化するという欠点があり、使用される場所を限定されるという使いづらい特徴を持っています。
世界初の「乾電池」を作ったのは日本人
そこで、この湿電池の使いづらい特性をなんとかしたいと考え出されたのが、現在も広く使われている「乾電池」です。実はこの乾電池を開発したのは、なんと日本人の「屋井先造」という東京物理大学校実験所付属の職工を務める人物です。
ただ、この発明は当初国内でさしたる注目を集めることもなく、有効に産業に活用されるチャンスも与えられていませんでした。その数年後、シカゴ万国博覧会に出品されたことをきっかけに国際的な認知が高まったという経緯があります。
現代社会に広がる乾電池技術
その後の「乾電池」の活躍はあなたも知っての通りです。懐中電灯や携帯ラジオ、ウォークマンなどに使われ、世界中の人々の生活を激変させるとともに、今でも広く色々な生活用品に使われ続けています。
高性能な「ニッケル水素電池」と「リチウムイオン電池」
さらに高性能な電池「ニッケル水素電池」や「リチウムイオン電池」が開発され、電池は高出力化とともに小型化されていきます。この結果、携帯電話やビデオカメラ、ノート型パソコンなどの小型化が進み、生活の利便性も大きく向上しています。また、仕事で使うことの多い電動工具も電池を内蔵する事によりコードレス化されていき、作業効率とともに生産性も大きく向上しています。
そのほかには、電動アシスト自転車、ウェアブルロボット(医療用)など人間社会を底辺からしっかりと支える存在へとその影響力を除々に拡大しています。
自動車関連分野では、さらに大きく高性能な「リチウムイオン電池」が開発され、ハイブリッドカーや電気自動車など、エネルギー効率の大幅な向上を実現しています。