アメリカの地形に合わせて作られたフルサイズのキャデラックやリンカーンというセダンは、日本で使うには少々大きすぎて使い勝手が悪いのですが、今回ご紹介するキャデラックベースのリムジン「ハリウッド・ドリーム号」は、全長なんと21メートルにも及ぶ超特大ロングサイズの自動車です。
目次
- かつて「泉州保養センター」が所有していた
- 主に客寄せとして使われていた
- サンダーバード「ペネローペ号」との違い
- これでもか!といった勢いの成金趣味が炸裂!
- 晩年を寂しく過ごす?
かつて「泉州保養センター」が所有していた
この世界一の長さを誇るリムジンは、かつて大阪府岸和田市に存在していた温泉型保養施設「泉州保養センター」が所有していた車です。
「かつて」と書いたのは、実はこの保養施設は現在廃業されており、この場所を訪れても超ロングサイズのリムジン「ハリウッド・ドリーム号」を見ることはできません(平成24年に廃業となり、現在の跡地にはパチンコ屋が建築されているそうです)。
主に客寄せとして使われていた
この車は、当時「泉州保養センター」の社長であった河村さんが、オーストラリアの実業家から、1億円余りの費用を掛けて購入したものです。
排気量8200ccのエンジンに、前輪に8個のタイヤ、後輪に14個のタイヤが装備されており、カーブを曲がるには50M以上のスペースが必要でした。そのため、日本の車検を取得することができず、当時は客寄せのために「泉州保養センター」の駐車場に展示されていたそうです。
また、この「ハリウッド・ドリーム号」は、度々、テレビのバラエティ番組でも取り上げられていたので、覚えている人もいるかもしれませんね。
サンダーバード「ペネローペ号」との違い
1970年代生まれの秋ろーとしては、長くてタイヤが沢山付いたリムジンといえば、「サンダーバード」に出てくるペネローペさん所有のピンクのロールスロイスが一番に思い出されますが、この「ハリウッド・ドリーム号」は、タイヤの数でもボディの長さにおいても「ペネローペ号」を大きく上回ります。
これでもか!といった勢いの成金趣味が炸裂!
真っ白なボディのフロントノーズ先端には、バッファローの本物の「角」が堂々と鎮座しており、いかにも成金趣味といった面白い意匠が凝らされています。車内には会議室からジャグジー、ゴルフ練習場まであり、なんと巨大なルーフの上にはヘリコプターが着陸できたそうですから驚きです。
その他には、寝室、バーラウンジ、プールまで設置されており、広大な長さを誇るフロントノーズには6本のアメリカ国旗が掲げられ、ルーフには衛星放送のためのパラボラアンテナが装備されています。加えて総乗車可能人数は50名だそうですから、もうこれは車というより「豪華客船」といった方が近いかもしれませんね。
晩年を寂しく過ごす?
オーストラリアでは、7万キロ以上を走行していたそうですが、狭い日本の駐車場で残りの余生を過ごすことになり、晩年は憂鬱な気持ちで過ごしていたのではないかと、最後にちょっと悲しい想像をしてしまいました。
また、この「ハリウッド・ドリーム号」が現在スクラップにされているのか、どこかの博物館で第二の人生を送っているのか、詳しい事は分かっていません(検索してもUSJのアトラクション「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」がヒットするだけです)。