スペシャルステージはその頭文字を取って「SS」と略して呼ばれることもあるラリー競技の花形ステージです。純粋に「速さ」を競って行われる競技であるため、初めてラリーを見る人でも十分楽しむことができます。
競技には林道や私有地、イベント用の道路など一般の道路と離れたコースを使い、一般車両が進入できないように厳重な通行制限をかけた上で行われます。
スタートは一台ごとに
また、コースがサーキットのように幅が広くないので、スタートは一分ごとの間を空けて一台ずつ行われます。そのため、F1のような普通のモータースポーツで見られる「抜きつ抜かれつ」といった類いの面白さはありません。ただ、荒れた狭い路面を車体を斜めにしながら高速で激走する姿は、他のモータースポーツにはないラリーならではの醍醐味といえます。
ラリー雑誌やニュース記事で見られるラリーカーによる大迫力の走行シーンは、このスペシャルステージで撮影されたものがほとんどです。
SSで競われるのは「所要時間」の短さ
速さを競うといっても重要なのは「最高速度」だけではなく、そのスペシャルステージをどれだけ短い時間で走り抜けられたかという「所要時間」が一番のポイントとなります。この所要時間はそのまま点数化され、ラリーの最後に全体の点数と併せて減点されることになります(600秒なら-600点)。つまり、速く走れた人はそれだけ減点数も少なくなるというわけです。
SSではドライバーとナビゲーターの協力が不可欠
ラリーにおけるドライバーの仕事は言うまでもなく「いかに速くそして正確にゴールまで走りきるか」ということに尽きます。そのためラリードライバーには、最大限の集中力と高度な技術を要求されます。
そのラリードライバーの仕事を助手席から支援するのが「ナビゲーター」という仕事です。ナビゲーターはドライバーがその持てる能力をフルに使って走りに集中できるように、正確なコース情報伝達や時間計算などを行います。
自分でペースノートを作る
WRCなどのように、レースの前に試走(レッキ)が許されている場合は、レースの前日にあらかじめコース情報を収集し、直線の距離やコーナーの方向と角度などを記述した「ペースノート」と言われるメモを制作します。
このペースノートはレースの前に主催者から渡される「コマ地図」とはまったくの別物で、各ナビゲーターとドライバーが一番使いやすいように独自の情報を書き込むことができます。
ナビゲーターはこのペースノートを使って正確なコース情報をドライバーに伝え、速くて無駄のないラリーカーの走行を支援します。
SSでの観戦ポイント
WRCなどの世界的なラリーでは、SSコース上での観戦が許されています。何も遮る物の無いコース上で直接ラリーカーを観戦できるのですから、その迫力は他のモータースポーツでは味わえない桁違いのものです。
日本で開催されるラリーのSS(スペシャルステージ)でも主催者が観客席を設置している場合に限り、コース上での観戦が許可されています。ただ、コース上のどこからでも見て良いという事はありませんので、観戦の際はくれぐれも主催者への確認を忘れないようにしてください。