リライアビリティ・ランとは、純粋に早さを競うSS(スペシャル・ステージ)に対して、走りの正確性を競うラリー競技です。
具体的には、「(1)決められたコースルート上を正確に走る」ということと、「(2)決められた平均速度を正確に守って走る」という2点の正確性が求められます。
正確なコースルートを走る
正確なコースルートを走るには「ルート図」と「コマ地図」という2つの地図を使います。特に「コマ地図」は普通の地図と異なり、ラリー独特の様式で書かれた地図ですので、初めて見た人には何が何だか分からないかもしれません。
簡単にコマ地図を説明すると、内容は「交差点の形状」とその交差点にある特徴的な「目標物」が主な要素です。間違えやすい交差点ではこの「目標物」が特に重要な働きを担います。
例えば、「左手前にガソリンスタンドがある十字路を右折して進む」場合は、まず十字路を表すための「十時線」がコマ地図の中心に大きく描かれます。
左手前の角にはガソリンスタンドを表す「GS」の文字が記載され、十時線の右側には進行方法を表す「矢印」が右に向かって記述されます。また、コマ地図の右下にはスタートから交差点までの距離が数値で書き込まれています。
最近のラリーでは「ミスコース」を防ぐために、間違えやすい形状の交差点をコマ地図で記述する際には、目標物をいくつも書き込んで正確に記述する工夫が施されています。
実際にレースを行う際には、ナビゲーターがこのコマ地図をもとに、「左手前ガソリンスタンド、十字路、右」などとドライバーにコースを伝えながら走行することになります。
このコースの伝達が上手くいかない時には、ラリーカーは大きくコースから外れ「ミスコース」となります。この「ミスコース」を含め「計算ミス」と「コースアウト」は、ラリーにおいてレース結果に悪影響を与える重大なミスとなります。
道なりに走る
ラリーの「ルート図」や「コマ地図」を使った走り方で、もうひとつ注意してほしい約束ごとがあります。それがコマ地図で示されていないルートでは「道なりに走る」というモノです。
この「道なりに走る」というルールには大きく分けて以下4点の決まり事があります。
(1)分岐では角度の大きい方へ進む
(2)路面状況が同じ方へ進む(ダートからダートへ、舗装路から舗装路へ)
(3)センターラインが続く方へ進む
(4)道幅が同じ方へ進む
つまり「コマ地図」で示されていない分岐では、「変化の少ない方へ進む」と覚えておけば間違いはありません。こういったルールとコマ地図によってラリードライバーは、複雑なコースを正確にトレースして走ることができるようになります。
平均速度を守って走る
「(1)決められたコースルート上を正確に走る」と並んで重要なもう一つの指針が「(2)決められた平均速度を正確に守って走る」という速度に関する正確性です。
これをラリーでは「アベレージ走行」といいますが、主催者側によってチェックポイント1〜2の間を平均速度40km/hで走るように定められている場合、ドライバーはこの平均速度でチェックポイント間を走ることが求められます。
例えばこのチェックポイント間が20kmの場合は、「20kmを30分で走りきれば平均時速40km/hとなる」と簡単に考えるのは間違いです。というのもこのチェックポイントの場所はドライバーに知らされていないからです。
つまり前半の山岳路をゆっくり走り、後半の舗装路で遅れを取り戻すという走りが出来ないのです。ドライバーはどこに設置されているか分からないチェックポイントに備え、常に平均速度を維持する必要に迫られるという事になります。
また、この平均時速には信号機や一旦停止などによる減速は考慮されていませんから、その分を常に計算しながらナビゲーターがドライバーに速度の修正を伝え続けなければなりません。