WRCをはじめとする世界レベルのラリーの場合、その順位は「設定されたコースを誰が一番早く走れるか」で決められるため、ルールをあまり知らない人が見ても比較的簡単に内容を理解することができます。
リライアビリティランとスペシャルステージ
対する日本のラリーで多く用いられるルールは前回もご紹介した「リライアビリティラン」というルールと、WRCと同じSS(スペシャルステージ)の複合ルールとなるのが一般的です。これは日本のコース事情に配慮したもので、走行速度を遅くすることで近隣住民への迷惑と環境への悪影響を最小限に抑えるのが目的です。
この「リライアビリティラン」というルールで開催されるラリーでは、「誰が一番目的地に早く到達するか」ではなく、「誰が一番正確に決められた速度で目的地に到達できるか」を競います。そのため日本のラリーでは「正確さ」と「速さ」の二つの指標が重要になるわけです。
速さを競うスペシャルステージ
「速さ」については理解しやすいと思いますが、SS区間(スペシャルステージ)を走りきるのにどれだけの時間が掛かったかが重要視されます。これはWRCなどと同じで掛かった時間そのものが減点対象として加算されます。(例:120秒なら120点)
正確さを競うリライアビリティラン
もう一つの指標「正確さ」については、日本独特の道路事情を考慮して採用されているルールです。このルールについては直感的にわかりにくいので、詳細な説明をしておきます。
まずルールを簡単にまとめていえば、「あらかじめいくつか設定してあるチェックポイント間を出場者がどれだけ正確な時間で走れるか」ということになります。また、このチェックポイントは出場者には知らされませんので、どんな場合でも決められた平均速度で正確に走行することが求められます。つまりこれが「正確さを競う」といわれる所以です。
具体的には、主催者が平均速度で走行した場合にかかる「あるチェックポイント間」のタイムを「20分」と設定している場合、実際に出場者がこの区間を「20分10秒」で走りきれば、設定されたタイムとの誤差は「10秒」となりますので、この時に課せられる減点は「10点」となります。
最後にこれらの点数を合計して、(SS区間の減点「120点」+チェックポイント間の減点「10点」+チェックポイント間の減点「8点」・・・)とすべての減点を合計した点数が一番少ないチームが優勝となります。
ちなみにWRCの場合は、(SS区間のタイム+SS区間のタイム+SS区間のタイム・・・+ペナルティ)で一番タイムの少ないチームが優勝となります。