ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違い
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの一番の違いは、点火プラグがあるか無いかという事です。
ガソリンエンジンは混合気を圧縮して、点火プラグで着火することにより燃焼しますが、ディーゼルエンジンは空気を高い圧力で圧縮してやることで高温にしておき、そこに直接軽油を噴射する事でその高温を使って燃焼します。つまり点火プラグ自体が無いのです。
直噴型ディーゼルエンジン
従来は副燃焼室で混合気を燃焼させておき、その燃焼を使って主燃焼室の混合気を燃やすという方法が取られていました。
しかし、これではディーゼルの大きな長所である燃費が落ちてしまいメリットが少なくなります。
そこで考えだされたのが、主燃焼室で高温に圧縮された空気に直接軽油を噴射して燃焼させる「直噴型ディーゼルエンジン」という方式です。
しかし、当初この方式はガラガラと大きな音をたてる特性があり、とても乗用車に使用できるものではありませんでした。
日本では圧倒的に有利なディーゼルエンジン
世界中のメーカー、特に欧州のメーカーがこのディーゼルエンジンに力を入れるのは、その燃費性能の高さが主な理由です。
また排気量当たりの低速トルクでは圧倒的に、ガソリンエンジンを上回ります。
日本においてはさらに大きなメリットがあり、税制上の理由から軽油はガソリンより安く手に入れることができます。
原油の価格変動によって変わりますが、燃費性能と軽油の価格を考慮するとガソリンの半分の経費で済む場合もあります。
最大のデメリットは排ガス
ここまで多くのメリットがあるにも関わらず、今までガソリン車ほど普及して来なかったのは、排気ガス処理の問題があったからです。
これがここ最近の技術革新により、排気ガス(黒煙やNOx)を除去するフィルターが開発され一気に欧州で拡大しつつあります。
速度レンジの高い欧州では、ハイブリッドよりディーゼルの方が実質的な燃費性能が高いと評判を呼んでいます。
これが最近よく耳にする「クリーンディーゼルエンジン」というディーゼルエンジンです。このクリーンディーゼルエンジンは排ガス問題だけでなく、ディーゼルのデメリットであった騒音にも対策が施されており、ガソリンエンジンにせまる静粛性を持つエンジンも開発されています。
クリーンディーゼルエンジンの今後
この排ガス問題をコストを掛けず不正に回避していたのが、最近話題になっていた「VWのディーゼル排気ガス問題」です。
しかし、これはディーゼルの技術的な問題というわけではなく、VWのモラルの問題ですから、一時的にディーゼルエンジンのイメージが悪化しても、当面ディーゼルエンジンが無くなる事はありません。
コストや環境の事を考えると電気モーターで動く「燃料電池車」や「電気自動車」が本格的に普及するまでは、この「ディーゼルエンジン」や「ダウンサイジングターボ」、もしくは「ハイブリッド」が継ぎの役割を担って行くと思います。