「トヨタ・アルファード」は、トヨタが誇るLクラスの高級ミニバンです。価格もそれなりで、下は300万円台から上は700万円台までと結構高め。市場からの人気も高く、プリウスやアクア、ヴィッツなんかと同じくらいたくさん売れてます。
利幅の大きな高級車がコンパクトカーと同じくらい売れるんですから、トヨタとしても笑いが止まらないでしょう。なんでも、今年、トヨタは過去最高の利益を上げているそうですが、アルファードの貢献も大きかったと思います。
そこで不思議に思うのは、日本経済は「失われた30年」っていうくらいパッとしないのに「なんでアルファードばかりそんなに売れるのか」ってことです。「お金持ちとそうでない人の格差が広がった」ってのもあるでしょうが、それだけじゃちょっと説明が付きません(ライバル車はそれほど売れてないんで)。
今回はそんなアルファードの人気が高い理由について、6つの視点から深掘りしていきます。
迫力ある外観
アルファード最大の魅力は、なんといってもその「迫力のある外観」です。
ライバルと比べても大きなボディ(全長4945mmx全幅1850mmx全高1935mm)に、巨大すぎるグリルを組み合わせたスタイリングは、見るものを常にギョッとさせます。
ギョッとするといっても、発売からだいぶ時間が過ぎ、路上にたくさんのアルファードが走っているせいもあって、なんだか最近はちょっと見慣れた感があります。発売当初は「うわーよくこんなド派手な車に乗れるな〜」と思っていたのが、「わー、良い車に乗っているなー」って感じになるんですから不思議なもんです。
特に最近は、2017年のマイナーチェンジを経て「威風堂々とした上質感」も磨きを増してます。
迫力のある外観は安全に対するメリットも大きい
迫力のある外観は、なにもオーナーの見栄や所有欲を満たすだけじゃありません。安全面でも大きな効果があるんです。あなたも街でアルファードとすれ違った時、何故かちょっと譲りたい気持ちになったことがあるでしょう。あれこそが安全面での効果で、「無理やり割り込んできたり」、「煽り運転をしかけてきたり」といったことが格段に少なくなるんです。
特に運転に自身が無くて、「車はゆったりと余裕を持って動かしたい」っと思っている人にこそ、アルファードは最良のパートナーとなります。
上質な乗り味
3代目アルファードの設計コンセプトは、「大空間高級サルーン」です。その真意は、ちょっと見た目の良い大型ミニバンじゃなくて、本当の意味での高級車として設計されているってことです。
その証拠にリアサスが簡素な「トーションビーム式サス」が、高価な「ダブルウィッシュボーン式サス」に変わってます。トーションビーム式サスは構造がシンプルで頑丈、ワゴンなんかに使われる場合は、荷室への張り出しが小さいってのもメリットです。商用ワゴンなんかにピッタリの構造ですが、乗り心地の良さという点では物足りません。その点「ダブルウィッシュボーン式サス」なら、ある程度複雑でしなやかな動きができるので、乗り心地やハンドリング面でメリットがあるんです。
2017年のマイナーチェンジでは、さらにボディ剛性の強化やダンパーの改良が行われ、乗り心地やハンドリングが良くなってます。
乗り心地が良くて安い「2.5 X」
ちなみに、柔軟な乗り心地をなるべく安く実現したいなら、ベーシックグレードの「2.5 X」がオススメです。アルファードシリーズで一番柔軟性の高い16インチタイヤを履いてますから。
柔軟性に加えてアルファードらしい上質感も味わうなら、同じ16インチタイヤを履く「ハイブリッド X」でしょう。柔軟な乗り味に加えて、ハイブリッドならではの高い静粛性もあります。
広くて上質な室内
ボディの大きさに伴って、アルファードの室内も広くなってます。
ライバルの「日産・エルグランド」が「室内長3025mmx室内幅1580mmx室内高1300mm」であるのに対して、「トヨタ・アルファード」は「室内長3210mmx室内幅1590mmx室内高1400mm」。つまりアルファードの方が一回り広いんですねえ。
特に気になるのは、室内幅。アルファードとエルグランドの全幅は同じなのに、室内幅だけアルファードのほうが10mm広いです。要するに、涙ぐましい努力でドアの厚みを削り、その分を室内幅に当ててるってわけです。まあ、ドア内側の「えぐり」がちょっとばかり深いってくらいのもんでしょうが、長時間ドライブではこのあたりのわずかな余裕が大きく効いてきます。
あと、室内高の違いも大きいです。アルファードは全高を高くすることで迫力のある外観と室内の広さを実現してますが、これに対してエルグランドは全高を低くすることでスマートなスタイリングと走りの良さを目指してます。
上質な室内
室内の魅力は広さだけじゃありません。「大空間高級サルーン」にふさわしい上質感があるんです。700万円を超える最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」は当然として、300万円台の「2.5 X」にもそれなりの上質感が与えられてます。
最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」は、「プレミアムナッパ本革シート」に「ブラウンオリーブ・アッシュバール木目調パネル」を組み合わせる贅を尽くした仕様。これに対して「2.5 X」には、清潔感あふれる「ファブリック(布)シート」に明るい「メタルブラウンウッドパネル」が組み合わされてます。
まあ、もちろん「エグゼクティブラウンジ」と「2.5 X」の質感が同じってわけじゃありませんが、「2.5 X」には「2.5 X」なりの清楚な上質感があるんです。
意外と運転しやすい(取り回しが良い)
アルファードは迫力のある外観と大きなボディのせいで一見運転しづらそうに見えますが、実際はそうでもありません。
ドライバーの目線が高く鼻先(ノーズ先端)が短いので、ボディの端を上から見下ろす感じで運転できます。要するに車両感覚が掴みやすいんです。迫力ある外観のせいで、他の車にせかされたり煽られたりすることも少ないので、落ち着いた気持ちで運転できるってのも嬉しいポイントです。
確かに後方の死角は大きいんですが、「バックガイドモニター(上級グレードは「パノラミックビューモニター」)」や先進安全技術「Toyota Safety Sense」があるんで問題ありません。
グレードによっては意外に価格は安い
アルファードの最上級グレード「ハイブリッド エグゼクティブラウンジS」は7,752,000円と、メルセデスベンツが誇る高級セダンEクラスのスタンダードモデル「E200アバンギャルド(7,340,000円)」より高いです。
いや、ほんと、日本車って知らない間に高くなりましたねえ。そのせいで「アルファード」は、めちゃくちゃ価格が高い車ってイメージです。
しかし、アルファードには2.5リッターの直列4気筒を搭載するベーシックグレード「2.5 X(FF・8人乗り)」もあります。これなら3,438,600円から買えちゃいます。
300万円台中盤というと、まあ、一般的にお安くはありませんが、それでも最上級グレードと比べれば半額以下です。高級ミニバンがこの価格から買えるというのは、結構魅力的だと思います。
リセールバリュー(下取り価格)がびっくりするくらい良い
アルファードの価格は300万円台から700万円台と、日本車としては高価な部類に入ります。
ただし、いくら価格が高いからといっても、それにともなって下取り価格も高ければ、乗り換えの時にその分で相殺できます。要するに、安く次の車に乗り換えられるってことです。
例えば700万の車を買って3年後に乗り換える時、400万で下取りしてもらえば実質的に300万円で済んだことになります。
3年後の下取り価格は8割
アルファードの魅力はこの下取り価格が高いことです。グレードや年式、車の状態にもよりますが、条件が揃えば3年後8割で下取りしてもらえることもあります。
つまり、700万円の車なら560万円くらいの下取り価格が付くんです。通常、3年後の下取りは新車の半額と言われるのが普通なんで、これはかなり大きなメリットです。もちろん、5年、10年と長く乗る場合は、このメリットも相対的に小さくなりますけどね。