今回の【評価レビュー】は「新型 マツダ・アテンザ ワゴン XD L Package(3代目)」。
2012年にフルモデルチェンジした、Mクラスのステーションワゴン(5ドア)。この他に4ドアセダンもあります。
リーマンショック後の経営悪化で販売戦略の見直しを迫られたマツダは、「しっかりとした車作りによる魅力的な商品を提供する」という方針を打ち出します。
この考えに基いて設計されたのが、「魂動」と呼ばれるデザインテーマと「SKYACTIVテクノロジー」を組み合わせた2012年以降の新世代マツダ車。「アテンザ」は、「CX-5」に次いで登場したその第二弾モデルです。
「XD」は、2.2Lディーゼルターボを搭載したクリーンディーゼル車で、「L Package」はその中でも充実した装備が自慢の上級グレードです。
この他に2.5Lや2.0Lエンジンを搭載したガソリン車もあります。また、それぞれのグレードに4WDとMTの設定があるのも、このアテンザの大きな特徴です。
2016年にマイナーチェンジを実施。見た目の変更点はほとんど無いものの、ディーゼルエンジンの静粛性向上やサイドウィンドウ(前)の遮音性向上、「G-ベクタリング」の導入など、見えない部分を中心に大掛かりな手が加えられています。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長4805mmX全幅1840mmX全高1480mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2750mmとなります。
フロント
ゆったりとしたフロントノーズに上質感あふれるフィングリル(メッキ)。有機的なラインで構成されたLEDヘッドライトが組み合わされ、スポーティで大人っぽいフロントフェイスを表現。
サイド
伸びやかなフロントノーズに、なだらかなルーフ形状と傾斜の強い前後ピラー(柱)。張りのある艷やかなサイドパネル。専用19インチアルミホイール(高輝度塗装)が装備され、ダイナミックで美しいサイドビューを構成。ステーションワゴンでありながら、クーペのような優雅さを併せ持ちます。
リア
グラマラスなヒップラインに質感の高いリアコンビランプ。上質感を強調するメッキ製ガーニッシュ。スポーティなデュアル・エキゾースト・パイプフィニッシャー。色気漂う大人の後ろ姿といった感じです。
内装
しっとりとした樹脂に質感の高いソフトパッド。細やかなステッチと精密感を高めるメタリックパーツが組み合わされ、スポーティで上質な室内を演出しています。
メーターナセルには新グラフィックとなった三眼メーター。その上部にはヘッドアップディスプレイが装備され、目線を移すことなく速度を確認できます。
センタークラスター最上段には、ナビゲーションなどを表示するフローティング式の7インチ・ディスプレイ。エアコンは手探りでの操作を可能にするダイヤル式。
スタイリッシュなデザインと低めに設置されたシートによって、ボディの見切りは今ひとつ。といっても、シートポジションが適正なため運転はしやすいです。
シート
フロントシートは、しなやかなナッパレザーにコシのあるクッションが組み合わされ、疲れの少ない快適な座り心地を実現。適度なサイドサポートにより、身体のホールド性も高いです。
リアシートは、座面の長さ、背もたれの高さともに適切で身体をホールドする機能が高いです。クッションにも適度なコシと柔軟性があり、座り心地も上々。
荷室
荷室には506Lの広々とした空間を確保。背もたれを6:4で倒せば、さらに容量を拡大できます。
静粛性
「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」と「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が装備され、エンジンのノック音を抑制。加えてサイドウィンドウ(前)には遮音ガラスが使われ、静かで上質な空間を実現しています。
エンジンとミッション
2188cc・直列4気筒DOHCディーゼル・ターボエンジンに、6速ATが組み合わされます。
最高出力175ps/4500rpmと、最大トルク42.8kgf・m/2000rpmを発揮。
車両重量1560kg。JC08モード燃費は、19.6km/l。
エンジン
2.2Lのディーゼルエンジンで前輪を駆動(FF)。低速からぶ厚いトルクを発生するパワフルなエンジン。トルクの出方もスムーズで上質なドライブフィールをみせます。
マイナーチェンジに伴って、低負荷時のレスポンスが向上。トルクの付きが良く、車速をコントロールしやすいです。操作性の良いオルガン式ペダルと相まって、しっとりと落ち着いた走りを披露します。
高回転まで気持ち良く吹け上がるものの、実際の力強さはいまいち。あくまでも低速を主体にした実用型のパワーユニットです。
トランスミッション
トルコン式の6速ATを装備。低回転を維持しながら、リズミカルにシフトアップ。エンジン回転を高めにくいため、ワンランク上のスムーズで上質な走りが可能です。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。
乗り心地
装着タイヤは225/45R19。
高剛性ボディにスポーティなサスが組み合わされ、適度に引き締まったしなやかな乗り味を実現。もう少し柔軟性の高い方が好きという人には、17インチタイヤを装着したモデル(XDのベースグレードなど)がオススメです。
スポーティなサスを履くわりに低速でのバタつきは少なく、路面からの衝撃もキレイにいなします。
轍や横風に進路を乱されることも少なく、フラットな姿勢を維持してまっすぐに直進。高速域での安定性が高いです。
ハンドリング
適度な重厚感を伴った、素直で切れ味の良いハンドリング。リアの接地性とのバランスも良く、安定した姿勢で狙ったラインを正確になぞります。
マイナーチェンジによって、ハンドリングの切れと車輌の安定性を高める「G-ベクタリングコントロール」を装備。極端な調整がされていないため効果を感じにくいのですが、なんとなく走りの質感が向上しているような気がします。
最小回転半径は5.5m。
その他
先進安全技術には、ミリ波レーダーとカメラを使った「i-ACTIVSENSE」を搭載。
このパッケージには予防安全技術として「スマート・ブレーキ・サポート」や人や車を検知して衝突回避を支援する「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)&AT誤発進抑制制御(前進時)」、「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBR)&AT誤発進抑制制御(後退時)」を。
運転支援技術として、先行車との間に一定の車間を保ちながら設定した速度で追従する「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」や、車線逸脱を回避する「レーンキープ・アシスト・システム(LAS)」といった機能を装備。
【評価レビュー】のまとめ
「マツダ・アテンザ ワゴン XD L Package」は、スタイリッシュな外観に広々とした室内を組み合わせた、Mクラスのステーションワゴン(5ドア)。マツダのフラッグシップモデルとして上質な車作りが行われています。
スムーズでトルクフルなディーゼルエンジンに、適度に引き締まった上質な足回り、素直で切れの良いハンドリングが組み合わされ、ステーションワゴンでありながら結構スポーティな車に仕上げられています。
「荷物や人をたくさん積めるゆったりとした車が欲しいが、走りの質感や楽しさも重要」とか、「スタイリッシュで質感の高いステーションワゴンを探している」といった人に最適な車です。
中古車市場では
2017年式「マツダ・アテンザ ワゴン XD L Package」で300万円前後。2013年式で150万円前後(2018年3月現在)。
価格
価格 | 3,774,600円(消費税込み)