日本出身のF1ドライバーが少なく、いたとしても中々表彰台に立つ機会に恵まれないのはなぜでしょう。
その理由のひとつとして、日本国民全体のモータースポーツに対するイメージの悪さや感心の低さがあります。
モータースポーツのイメージが悪い理由
日本独自の不良文化として、昔から「暴走族」というものが存在します。これは、バイクやクルマに派手な飾り付けを行い、やたらとうるさいマフラーを付け、世間の迷惑も顧みず集団で違法走行を繰り返す連中のことです。
これに対してモータースポーツは、同じくバイクや自動車を使うものの、主な活動舞台は公道から完全に隔離されたサーキットの中です。派手なエアロやうるさいマフラーを装着しているものの、これらスポーツパーツには「速く走るため」という合理的な理由があります。決められたルールの中で、成績を競う立派なスポーツの一分野なのです。
暴走族とモータースポーツの違いが分からない
ところが一般の日本人はこの事をよく知りません。「趣味でレースをやっているんだ」などと親戚のおばさんに言おうものなら、「暴走族はいけんよ」とおっちょこちょいな注意を受けることもあります。
つまり、違法行為である「暴走族」と、決められたルールの中で行われる健全なスポーツの「レース」を混同してしまっているのです。これが、日本でモータースポーツのイメージが悪くなってしまった大きな理由です。
ヨーロッパでは、F1ドライバーの地位が高い
これに対して、モータースポーツの盛んなヨーロッパでは、モータースポーツ最高峰であるF1の地位も非常に高いです。当然ながら、これに参加するF1ドライバーの人気も高く、みんなが憧れるヒーローとなっています。
人気の高さは欧州で高い人気を誇るサッカー選手に並ぶほどです。サッカー選手のなかには騎士号の爵位を授けられる人もいますが、F1ドライバーの地位もそれに準じるものがあります。
つまり欧州のF1ドライバーは人気と地位が高く、みんなが強い憧れをいだくため、それにともなって多くの才能ある人達がF1の世界にドンドンと流れ込んでいるのです。人が多く集まればその中から天才が現れる可能性も高くなります。同時に人材を育てるためのお金やチャンスも増えるという仕組みです。
日本では、一部のマニアックな人気に留まるマイナーなスポーツ
これに対して日本のモータースポーツは、上の章でも解説した通りイメージが非常に悪いです。一部のマニアックな人からの人気はありますが、地位が高いとは到底言えない状況です。
そのため、モータースポーツの裾野も狭く、ごく一部のもの好きが集まって細々と活動をしているのが現状です。得られる収入もヨーロッパやアメリカと比較すると大きな差があります。
モータースポーツの地位と人気を高めるには
しかし逆に考えれば、日本のモータースポーツの人気が高まり、暴走族とは違うということが周知されれば、活動する人の裾野が広がってその中から多くの天才たちが現れるかもしれません。
それには、強い影響力を持つマスコミがしかりとレースの中継を行うことが重要です。ただ、現状では深夜の番組でスポット的に放送されるのがせいぜいで、F1の地上波中継も無くなり、かえって存在感がどんどんと薄まっています。
一時、F1の中継から撤退すると噂された、CS放送「フジテレビNEXT」ですが、今年はなんとか全戦のフリー走行と決勝までを中継することになりました。CS放送は、地上波と比較すると視聴者の数が少ないのですが、なんとかこの最後の防衛ラインだけは維持して欲しいものです。
また、今年からは有料ネット配信サービスの「DAZN」でも、F1中継が見られるようになります。CS環境が無いという人は、こちらをご利用ください。
参考:フジテレビNEXT
参考:DAZN