F1ドライバーが住みたがる国として特に有名なのが、ヨーロッパの小国「モナコ公国」です。モナコはフランスの南部にある、世界で2番目に小さな国ですが、F1ドライバーがこの国を好む理由は、単純に所得税が0%と極端に安いからです。
モナコ公国の所得税は0%!
F1の主要な舞台となるヨーロッパ諸国では、ほとんどが累進課税となっているため、高額所得者ほど高い税金を収める必要があります。
例えば、イギリスの場合で、0~40%。スイスが、1~13%。ドイツ、15~42%、フランス、0~48%。イタリア23~43%という具合です。
これに対してモナコ公国は、カジノ産業からの売上が桁違いに多く、そのお金だけで十分に国政を賄うことができます。また、国の主要産業であるカジノを振興するためには、国外からさらに富裕層に来てもらったほうが都合が良いという面もあります。その結果、所得税0%とという脅威の税率が実現しているわけです。
モナコ公国へ移住するには、厳しい審査をパスする必要がある
「そんな素敵な国があるなら、俺も移住したい!」という人もいるでしょう。しかし、モナコ公国に移住するには、それなりの厳しい審査に合格する必要があります。具体的には、その人の資産や収入、さらに出自まで確認されるという念の入れようです。
また、移住してからの生活も大変で、基本的に全てのものが富裕層のために用意されていますので、物価や家賃は桁違いに高いのが普通です。これだけの余分なコストを支払っても、年収何十億というF1ドライバーの場合は、40%の所得税で取られる税金の方が圧倒的に痛いのです。
また、モナコは入国審査が厳しいため、ファンやマスコミが気軽に入り込むことは出来ません。超有名人であるF1ドライバーにとっては、こういった事も重要で、普段自宅の周りでゆったりと過ごすことのできるモナコは最高の居住地なのです。
スイスへの移住も人気
ただし、最近はタックスヘイブンへの風当たりが強く、各国が規制強化に乗り出しています。その流れの中で、本国やF1チームのある本拠地へ移住する人も多くなっています。
また、隠れたタックスヘイブンとして、最近はスイスの人気も高いです。スイスは、法律でモータースポーツが禁止されているため、F1ドライバーという職業が存在しません。そのため、F1ドライバーの所得税はモナコ公国と同じ0%となっています。
同時に物静かなスイス人の気性もあり、普段、うるさいファンに囲まれて消耗することもありません。このあたりの事情はモナコ公国とよく似ています。
暖かいリゾート地が好きな人はモナコに移住して、スキーや静かな雪山が好きな人はスイスに移住するといったところでしょう。