一般的に中古車の程度を見る場合、「走行距離」よりも「年式」の方がより重視される傾向にあります。
ただし、中古車の状況はその車によって様々です。まったく条件の違う2つの車を比較する場合、年式とともに走行距離についても考慮に入れる必要があります。
状況が全く同じで、走行距離だけが違う場合
例えば、平成28年式のカローラ同士を比べる時、片方のカローラは走行距離1万キロ、もう一方のカローラは走行距離4万キロといったケースです。
こんな時の比較は簡単です。年式が同じわけですから、1年で4万キロ走ったカローラよりも、1万キロの方が車の程度が良いという事になります。
逆にこれだけ条件が違うにも関わらず、値段が同じだったり、1万キロのカローラの方が安い価格が付いているようであれば、「その裏に何かが隠されている」と用心したほうがいいでしょう。もちろん、グレード、装備などが同一の場合のはなしですが。
2車の状況が複雑に異なる場合
しかし、中古車を探している時に、「まったく車の条件が同じで走行距離だけが違う」なんていうケースは稀です。多くの場合は、まったく条件の違う2車を比較して検討する事になります。
例えば、平成24年式のフィット(走行距離1万キロ)と平成28年式のヴィッツ(走行距離5万キロ)といった2車を比較するケースです。
年式だけみれば、圧倒的にヴィッツのほうが条件が良いように感じられますが、走行距離では逆にフィットの方が好条件です。
一般的に中古車の条件を見る時、「1年に1万キロから1万2千キロ程度走っている車がベストコンディションを保っている可能性が高い」とみることができます。というのも、車のエンジンは一日にある程度の距離(30キロ程度)を毎日のように走行しているほうが調子が良くなるからです。逆にタマにしか車を動かさない場合は、エンジンの調子は悪くなります。
平成24年式のフィットは5年間に1万キロしか走っていませんので、これを1年あたりに換算するとわずか2000キロ程度となります。これに対してヴィッツの場合は、1年で5万キロですから、エンジンの調子が抜群だと推測されます。ただし、理想的な年間走行距離を大幅に上回っていますので、エンジン以外の足回りやボディにはそれなりのガタがきている可能性が高いでです。
多くの場合、走行距離よりも年式の方が優先される
といっても、この程度の走行距離であれば、年式の新しさとエンジンのコンディションを優先して、平成28年式のヴィッツ(走行距離5万キロ)の方が程度が良いと判断することができます。
このように、中古車の程度を判定する時には、年式のほうが優先される傾向が強いのですが、年式が新しくても走行距離があまりに多い場合(10万キロ以上)は、走行距離の少ない平成24年式のフィット(走行距離1万キロ)の方が程度が良いと判断されます。このあたりは、その年式に対して走行距離が多すぎるのか少なすぎるのか、ケースバイケースで一概にはいえません。
ただし、おおむねこのような傾向があるという事を頭にいれておけば、おかしな値付けがしてある要注意物件を見分ける助けとなります。予備知識として是非覚えておいてください。