ターボチャージャーとは、エンジンからの排気ガスを使ってタービンを回し、タービンと同軸に取り付けられたコンプレッサーでエンジンに送り込む空気の密度を高め、それによって燃焼室内でより大きな爆発を起こすための装置です。つまり、このターボチャージャーを使えば、小排気量エンジンでりながら大排気量エンジンに匹敵するパワーを生み出すことができるのです。
ただし、自然吸気エンジンより燃費が劣るとか、故障しやすいといったデメリットがあったため、ターボエンジンを搭載する車はしばらく減少傾向にありました。
ところが最近は欧州を中心に「ダウンサイジングターボ」という、新しいコンセプトのターボエンジンが流行しています。これは小排気量エンジンにターボチャージャーを取り付ける事で、燃費性能とフラットな低速トルクを実現した、実用的なターボエンジンのことです。その流れを受け、日本市場でも再びターボエンジンを搭載する車が増えつつあります。
といってもターボエンジンが自然吸気エンジンよりも壊れやすいというデメリットは変わりません。そこで今回は、中古車でターボ車を買う時のチェックポイントについて解説したいと想います。
エンジンの空ぶかしを行う
ターボエンジンを素人がチェックするには、まずエンジンを始動して空ぶかししてみることです。ターボチャージャーに故障や不具合がある場合は、アクセルを煽るとマフラーから白い煙が立ち上ることがあります。これはターボチャージャーから漏れたオイルが燃焼室内に入り込み、ガソリンと共に燃えることで発生します。その他にも、エンジンオイル系統になんらかの不具合を抱えている場合もあります。
ターボ警告灯のチェック
次は、メーター内に「ターボ警告灯」が装備されている場合です。ターボ警告灯は「TURBO」という小さな文字が光る事で、ターボチャージャーの不具合をドライバーに知らせる装置です。
通常はエンジンの始動とともに他の警告灯と同時に光り、異常が無ければ消灯します。ところが、ターボチャージャーに何らかの異常があれば、この警告灯は点灯したままとなります。
ターボメーターのチェック
中古車の試乗をする事ができれば、試乗中に「ターボメーター」をチェックしてみてください。ターボが正常に作動している場合は、アクセルの踏み込みに合わせてメーター内の針がスムーズに上下を繰り返すはずです。逆に全く動かないとか、ギクシャクとした奇妙な動きをする場合は、ターボチャージャーが故障しているかもしれません。
ターボの作動音をチェック
ターボチャージャーのチェックについては、視覚情報だけでなく耳からの聴覚情報も重要です。アクセルの踏み込みに合わせて「ヒュイーン」とか「キーン」といった高周波音がすれば、正常にターボチャージャーが作動していることになります。この音に合わせてしっかりとトルクが上昇しているとか、ターボメーターの針の動きもリンクしていればさらに安心です。
ターボエンジンは壊れやすいパーツです。上記のチェック項目をこなして何か気になる点があれば、その車の購入は控えたほうが良いでしょう。
また、ターボチャージャーを搭載するスポーティな車は、前のオーナーによって改造が行われている場合があります。エンジンルームを見て派手な色のパーツや配線があれば(社外品の改造パーツは派手な色が何故か多い)、無理にその車を購入する必要はありません。こういった車はメーカーの想定を超えた大きな負荷が掛けられている可能性が高く、故障しやすいのです。