優勝者に対して送られる「トロフィー」は、古代の戦争で「敵から得た戦利品を、戦いの功労者に対して送った」という風習が元になっています。
現代では主にスポーツの優勝者に対して送られる事が多く、時には小さなトロフィーを2位や3位の選手に送る場合もあります。
そのため、普通の個人競技では選手個人に対して送られる事が多く、サッカーなど団体競技の場合はチームに対して送られています。
これに対してF1GPの場合は、レース自体は個人が戦っているものの、レースのバックアップのために大規模なチームが関わっています。こう考えるとテレビ中継の時に選手が掲げる優勝トロフィーは、最終的に選手の家に飾られるのか、チームの持ち物となるのかちょっと気になりますね。
優勝とは誰に対して与えられる称号なのか
トロフィーの持ち主を考える時に重要なのが、「優勝とは誰に対して与えられる称号なのか」という点です。
F1の場合は、そのレースの優勝者の他に、シーズンを通しての優勝者も決められます。
このうち、ドライバーの成績によって決められる優勝者を「ドライバーズ・チャンピオン」。マシン製造者の成績に対して決められる優勝者を「コンストラクターズ・チャンピオン」と呼びます。
レース規定によって、F1のシャシーはそれぞれのチームで固有のものを使うと定められているので、マシンの製造者とチームは同義です。つまり「コンストラクターズ・チャンピオン」はチームに対して与えられるという事になります。
優勝トロフィーには、チーム用と個人用の2種類がある
ここまで分かれば後は簡単です。レースの優勝トロフィーはドライバー個人のものとなり、「ドライバーズ・チャンピオン」のトロフィーも同様に個人の所有となります。
ただし、個人の優勝トロフィーといっても、その影には何百人ものチームスタッフの尽力があるのも事実です。普通ならチーム本社にも、何か優勝の象徴となるものを起きたくりますね。そんな場合に備えて、チームにはレプリカの優勝トロフィーが送られます。レプリカといっても内容な本物とまったく同じですから、満足感は充分なはずです。
もちろん、「コンストラクターズ・チャンピオン」はチームに送られるものですから、その優勝トロフィーもチームの所有となります。
レッドブル本社には60個以上の優勝トロフィーが飾られている!
つまり強豪チームの場合は、「ドライバーズ・チャンピオン」のトロフィーと、「コンストラクターズ・チャンピオン」のトロフィーが次から次へとドンドン集まる事になります。
2014年。イギリス ミルトン・キーンズにあるレッドブル本社で、レガシィ・ツーリングワゴンに乗った強盗によって、優勝トロフィーが盗まれるという事件がありました。
犯人は深夜レッドブルのファクトリーに侵入し、ガラスケースの中にあったレッドブルの優勝トロフィーを強奪しています。この時、ガラスケースの中にあった優勝トロフィーは何と60個。この時の犯人は未だに捕まっていませんが、なぜかファクトリーから離れた湖で20個の優勝トロフィーが発見されたという事です。
ひょっとしたらこの20個は「ドライバーズ・チャンピオン」に対して送られたチーム用のレプリカかもしれませんね。だとしたら、この犯人たちはF1の事情にかなり精通している事になります。