今回の旧型レポートは「3代目 ダイハツ シャレード キサ 1.0」。
1987年から1993年に渡って製造販売されていた、コンパクトな5ドア・ハッチバックです。
シャレードは、初代、2代目と高い人気を得ていたベストセラーカーです。ところがこの3代目になると、ボディが僅かに大きく立派になった事が災いして従来のユーザー層からそっぽを向かれてしまいました。とはいえ、かっこいいボディとバランスの良い内容を持つ傑作車に違いはありません。
外観
全長3680mmX全幅1615mmX全高1385mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2340mmとなります。
当時、ルノー・ルーテシアにも影響を与えたと言われる程、完成度の高いスタイリッシュなボディデザインを持ちます。
フロント
スラントしたノーズに傾斜の強いフロントウィンドウ、ぐっとサイドに張り出した力強いフェンダーが組み合わされます。おしゃれでスポーティ、都会的な趣を持つフロントフェイスです。
サイド
傾斜の強いフロントノーズとAピラー(一番前の柱)が一体となって、モダンな表情をこの車のサイドビューに与えています。力強いワイドフェンダー、太く逞しいDピラー(一番後ろの柱)が与えられ、切れ味の良い力強さを感じさせます。
リア
リアエンドの低い位置に、横一直線に薄いリアコンビランプが配され、キビキビとした軽快感と重心の低い安定感を感じさせます。
内装
樹脂の質感丸出しのシンプルな内装。といっても妙に豪華に見せようとしていないため、貧乏臭さは微塵もありません。使い勝手の良い実用的なデザインです。
シート
フロントシートにはざっくりとした清潔感のある生地が張り付けられています。やや腰回りに体圧が集中しがちですが、中距離(30km)程度の移動であれば問題ありません。
リアシートには大人二人がなんとか座れるだけのスペースが確保されています。ただし、クッションにコシやストロークが足りないため、短距離(10km)程度の移動に限られますが。
荷室
コンパクトカーとしては、標準的な荷室容量を持ちます。縦方向にたっぷりとした余裕があるので、家族4人であれば2泊3日旅行も可能です。
静粛性
クラス標準レベルの静粛性。アクセルを踏み込めば、ノイズとバイブレーションが増大します。
エンジンとミッション
993ccの直列3気筒DOHCエンジンに、5速MTが組み合わされます。
エンジンは、55ps/5600rpmの最高出力と、8.0kgf・m/3600rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量770kg。10モード/10・15モード燃費は、18.0km/lとなります。
エンジン
1.0Lの3気筒エンジンで前輪を駆動。あまりパワフルなエンジンではありませんが、超軽量ボディとダイレクトなMTによって、キビキビとした軽快な走りをみせます。
トランスミッション
スロトークの長い乗用車的なトランスミッション。ダイレクトなフィールを伴って、この小さなシャレードを小気味よく走らせます。
足回りとハンドリング
前後ともにマクファーソン・ストラット式サスペンションが装備されます。
足回り
適度に引き締まった快適な足回り。目地段差では車内にある程度の衝撃を伝えますが、角が丸められているため不快な印象はありません。
ハンドリング
超軽量ボディとバランスの良い足回りによって、切れ味の良い軽快な走りが可能です。ステアリングセンターには適度な遊びがありますが、微小舵角から正確に反応して、気持ちよくコーナーをクリアしていきます。
評価のまとめ
十分な人と荷物を積むスペースを確保した上で、モダンでスタイリッシュなボディが与えられ、実用性の高さと見た目のカッコよさを高次元でバランスさせています。
さらに、超軽量ボディにレスポンスに優れる小さなエンジンが組み合わされ、キビキビとした軽快感溢れる走りを楽しめるのもこのシャレードの大きな魅力です。
「車は道具としてしっかりと人や荷物が積めた上で、ある程度の気持ちの良い走りや、カッコいいスタイリングが楽しめればそれで良い」という人にピッタリな車です。
ただ、以前のユーザーからそっぽを向かれてしまったという事実の中には、「ちょっと立派すぎて気恥ずかしい」という微妙なユーザー心理が隠されているのかもしれません。
価格
新車当時の価格 | 885,000円