初代 クライスラー ネオン SE(1997年)【旧型レポート】徹底的なコストダウンが行われた実用車 [E-PL20]

今回の旧型レポートは「初代 クライスラー ネオン SE(1997年)」。
1994年から1999年に渡って製造販売されていた、コンパクトな4ドアセダンです。

当初「日本車キラー」として大々的に売り出された「ネオン」ですが、極端にコストを抑えた車作りが日本の消費者に合わず、大きな成果を上げる事はありませんでした。

スポンサーリンク

外観

全長4370mmX全幅1720mmX全高1370mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2640mmとなります。

フロント

低く抑えたノーズに丸型のヘッドライトが組み合わされます。シンプルで嫌味のないクリーンなフロントフェイスです。

サイド

Aピラー(1番前の柱)が大きく前進した独特のスタイリング。ぎゅっと絞り込まれたキャビン形状によって、塊感のあるパーソナルなイメージを持ちます。

リア

クーペのように小さく絞り込まれたキャビン。丸くポロンと張り出したサイドフェンダー。緩やかな曲線によって描かれた三角形のリアコンビランプによって、軽快感溢れるスポーティなリアエンドを形成しています。

スポンサーリンク

内装

樹脂の質感をそのまま活かしたシンプルな内装デザインです。質感はそれほど高くありませんが、機能が合理的に整理されているため使い勝手は良好です。

そこそのゆったりとしたボディを持ちますが、小さく絞り込まれたキャビンによって室内は意外と窮屈です。

シート

シンプルな形状の立体的なフロントシート。柔らかなパッドが使われ快適な座り心地ですが、クッションにコシが無いためしばらく座っていると疲れてしまいます。

リアシートは、頭上空間に余裕が無いため、窮屈な印象です。といっても成人男性が座れるだけの充分なスペースは確保されています。

荷室

ストラットの張り出しが大きく、広さの割に使える容量は少なめです。といっても4人家族で2泊3日旅行くらいなら余裕でこなせるでしょう。

静粛性

エンジンノイズ、バイブレーションともに大きめです。遮音材が極端に省かれているため、ロードノイズも気になります。

スポンサーリンク

エンジンとミッション

1996ccの直列4気筒SOHCエンジンに、3速ATが組み合わされます。
エンジンは、134ps/6000rpmの最高出力と、17.8kgf・m/5000rpmの最大トルクを発揮します。

車両重量1190kg。10モード/10・15モード燃費は、11.8km/lとなります。

エンジン

2.0Lのシングルカムエンジンで前輪を駆動します。低速トルクが薄いため、エンジンを余計に回してやる必要があります。ガーガーと安っぽいノイズとバイブレーションが車内に響き渡ります。

トランスミッション

スムーズさに掛ける、大味なフィールのトランスミッション。

2.0Lクラスの小型車で3速ATというのは、この当時でも非常に珍しい組み合わせです。日本車の同クラスライバルが4速ATを装備している中、この選択をしたのは徹底的なコストダウンを実現するためです。

足回りとハンドリング

前後ともにマクファーソンストラット式サスペンションが装備されます。

足回り

フワフワとしたいかにもアメリカ車といった乗り心地です。ただし、安いサスペンションが使われているため上質感はありません。路面の段差を通過すると、バタバタと不快な衝撃が車内に伝わります。

ハンドリング

モワーとした曖昧なフィールのステアリング。タイヤがどっちを向いているのか分かりにくいため、長時間運転していると疲れていまいます。

評価のまとめ

当初、日本車キラーの何ふさわしい130万円以下の値段で販売されていたネオンも、徐々に進行する円安の煽りを受け、最終的には150万円近い価格となってしまいました。品質も低く、価格はそれほどでもないとなると売れる理由はありません。

この後、クライスラーは日本市場を諦めることなく、続けて2代目ネオンを投入します。この新しいネオンはある程度の品質が保たれているものの、ライバルとなる日本車のレベルには到達しておらず、価格も200万円以上と初代以上に中途半端な車となってしまいました。売上も期待したほどは上がらず、2代続けて販売目標を達成できなかったため、ネオンはこの代で日本市場から撤退する事になります。

アメリカで使う下駄グルマとして、「安く買ってガンガン使う」というコンセプトのもと、このネオンには徹底的なコストダウンが施されています。

それをそのまま日本市場に持ち込んでも売れるはずは無いのですが、当時のクライスラー上層部は、それほど日本市場の事を重要視していなかったのかもしれません。

日本でアメ車を売ろうとするなら、フルサイズSUVやフルサイズミニバンなど、いかにもアメリカといった個性的な車を売るのが一番簡単で儲けも大きくなります。結果的には日本の消費者も喜び、ますますアメリカ車のファンが増えるという好循環が生まれます。

こんな単純な事に気が付かないはずはありませんので、やはり、日本市場の事をそれほど重要に考えていなかったのでしょうね。

価格

新車当時の価格 | 1,499,000円

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)