欧州で高い人気を誇る「F1レース」ですが、その主役ともいうべきF1マシンは一体どのくらいの性能を持っているのでしょう?
自動車の技術は日進月歩で新しい方が優れているのが普通です。ところがモータースポーツの分野では、この技術に加えてレース運営上の規約というものが存在します。
過去のレースで適法であった「ターボ」が違法になるといった事もあります。今後、さらに環境への対策強化が叫ばれるようになれば、ガソリンエンジン自体の使用も出来なくなるかもしれません。
そんなわけで、F1の場合は最近のマシンが一番速いとは限らないのです。
非公式記録ながら世界最高速度を叩き出したBARホンダ
F1マシンの最速記録は、2006年アメリカのユタ州ソルトレイクで記録された、BARホンダの393.61km/hです。これは往路と復路を平均した記録ですが、往路に限って言えば400km/h以上の速度が出ていました。
といっても、この記録は通常のF1レースではありませんので、公式なF1最高速度とはいえません。
F1公式の世界最高速度は?
イタリアGPが開催されるモンツァ・サーキットは、F1が開催されるコースの中で最も平均速度の速い超高速サーキットです。当然ながら、F1における公式最速記録もこのモンツァサーキットで記録されています。
2005年。このモンツァ・サーキットで開催されたイタリアGP決勝で、キミ・ライコネンが370.1km/hを記録しています。
またこれは予選での記録になりますが、2016年に開催されたヨーロッパGPにおいて、バルテリ・ボッタスが378km/hの最高速度を叩き出しています。
最近のF1GPでは、再びターボエンジンの使用が認められるようになり、同時に空気抵抗も減少しているため、最高速度が向上しています。F1マシンの最高速度記録が更新されるのも時間の問題かもしれません。
レース全般を通した平均速度で最も早かったのは、2003年にミハエル・シューマッハが同じくモンツァ・サーキットで記録した247.585km/hです。この時のシューマッハは、同時に優勝も果たしています。
他の乗り物との比較
このF1マシンの最高速度がどれほど速いのか知るためには、他の乗り物との比較が一番分かりやすいかもしれません。
新型 スバル WRX STIがマン島で「市販四輪車の最高速度記録」を樹立した時、平均速度は185.6km/h(マン島のコースは入り組んだ細い道が多いため単純にサーキットとは比べられませんが)でした。東海道新幹線「N700系」の営業最高速度は285km/h。ジャンボジェット機と呼ばれる「ボーイング747」は、時速1030km/h。
流石にボーイング747よりは遅いものの、あの新幹線よりもかなり速いです。
直線番長では優勝できない
このF1の世界最高速度を見ていて興味深いのは、レース中のワンポイントで世界最高速を記録しても、それが最終的な優勝に繋がっていないという点です。
F1のレースでは、直線での最高速度の他に、コーナリングスピードやピット作業の所要時間などが複雑に関係してきます。そのため、単純な最高速度だけを極めても、簡単には優勝できないという奥深さがあるのです。