被害者が幼児や学生など、未成年者の場合、損害賠償を計算する上での「逸失利益」はどのように求めるのでしょう。
(「逸失利益」とは、その被害者が死亡したり後遺症を負った時、事故によって得る事が出来なくなった「生涯総収入」のことです)
未成年者の将来は未知数
被害者が未成年の場合、そのまま無事に成長していれば、成人して職につき、なんらかの収入を得ることになります。
ただし、幼児や学生の場合、社会人と違って何の職に付くかは全く予測することができません。勉強の苦手な子供が大発明をしたり、大きな会社を興したり、逆に、神童といわれるほど頭のいい子が普通のサラリーマンになったり、フリーターや無職となることも珍しくありません。
これは、進学校といわれる名門高校や偏差値の高い難関大学でも同様です。ただし、既に就職が内定しており、その後の進路がある程度予想出来る場合は別です。その内定している企業や団体の給与基準に添って、その後の「生涯総年収」が計算され、「逸失利益」として支払われる事になります。
全年齢の平均賃金が基準になる
それでは、就職が内定していない学生や幼児の場合はどのようにして「逸失利益」が計算されるのでしょう。
この場合は、全年齢の平均賃金が基準として採用されます。小さい頃から、たっぷりと教育にお金をかけ、名門小学校から中学、高校、難関大学へとエリートコースを歩んできた子供といえども、この基準は変わりません。
平均賃金の基準は、男女別の全年齢平均賃金が採用されます。男女によって賃金に格差があるのは、ちょっと違和感がありますが、男女の平均を採用すると、賃金の高い男性がいくらか損をしてしまうので、現状ではこのような基準が採用されています。
今後、実社会の賃金格差が是正されていけば、この男女の賃金格差も解消されるでしょう。
未成年者の就労可能期間は?
男女の別に関わらず「就労可能期間」は、高校卒業もしくは大学卒業から67歳までと定められています。
フリーランスや自営業者のように、「平均余命までの半分の期間」という基準は採用されません。日本人は会社勤めか公務員、団体職員として働くことが多いという前提にたった基準です。