ベンツの外観には、周りの人たちが恐れを抱くような「厳ついデザイン」が意図的に与えられています。そのせいでステータスシンボルとして不動のイメージを確立しているのですが、実際に運転してみると「無理な追い越しをされない」とか、「乱暴な人に煽られない」、「強引な割り込みを受けない」といった数々の実質上のメリットがあることに驚かされます。
最近はトヨタなどの大衆車メーカーも、この「厳ついデザイン」を採用した車を次から次へと発表して人気をはくしていますが、メルセデス・ベンツのような「威厳」といったものまでは感じられません。
特に大型サイズの「Eクラス」や「Sクラス」には、ちょっと普通では近づきがたいただならぬ雰囲気が漂います。「なんだか怖い人が乗ってそう」とか、「ちょっと擦っただけでものすごい額の修理費を請求されそう」といった恐れを勝手に抱いてしまうのですから、不思議としかいいようがありませんね。
ベンツの独特の雰囲気を悪用する人たち
この「ちょっと近づきがたい雰囲気」は、お金持ちのステータスシンボルとしてだけではなく、怖い稼業の人にも好まれます。
というのもこういう稼業の人たちは、「相手を怖がらせてなんぼ」という特殊な事情がありますから、ベンツのその独特の雰囲気はまさに自分の怖いイメージを演出するための最高のアイテムとなるのです。
そのため、ウィンドウガラスがフルスモーク化された「Sクラス」や「Eクラス」を見た時には、なるべく離れていたほうが無難かもしれません。
怖いベンツと接触事故を起こしたA子さん
例えばこんなエピソードがあります。1989年10月、千葉県のJR銚子駅ロータリーで女性会社員のA子さん(19歳)が、メルセデス・ベンツのSクラスと接触事故を起こしてしまいました。
A子さんが事故に驚いてそのまま停車していると、ベンツの中からパンチパーマに厳ついスーツ姿のいかにガラの悪そうな男性B(42歳)が降りてきました。
Bの怖そうな雰囲気に身を縮め、A子さんは何も言葉を発することが出来ません。その様子を見て取ったBは、ここで一気呵成に押し込めとばかりに、「こら!この車の傷どうするつもりじゃ!」とあの手この手でA子さんにお金の支払いを求めます。
A子さんの家に押しかけたり、Aさんの留守中に体の不自由な両親に恐喝まがいのことをしたりと、その悪行は留まりません。
多くのベンツには善良なお金持ちが乗っているが
再びA子さんの実家を訪れたBはいつものように大声でご両親を脅しますが、通報により駆けつけた銚子署員によってあえなく御用となります。
もちろん全てのベンツに怖い人が乗っているわけではありません。多くは会社の経営者や開業医といったステータスの高い人達でしょう。ただし、極稀にこういったトラブルに巻き込まれる可能性もあるという一例で今回はご紹介しました。