事故に遭った相手がレンタカーの場合、損害賠償を支払う義務は誰にあるのでしょうか?
もちろん加害者に損害賠償を支払う能力がある場合、損害賠償を支払うのは加害者本人になります。
ここで難しいのは、加害者に損害賠償を支払う能力が無い時です。加害者がドライバーズ保険に入っていれば、加害者に請求することもできますが、通常ドライバーズ保険に入っているような人はあまりいません。
レンタカー料金には任意保険の費用が上乗せされている
レンタカーを借りたことがある人なら知っていると思いますが、レンタカー料金には車を借りる料金に任意保険の費用が上乗せされています。
そのため、ドライバーが保険に入っていなかったとしても、そのレンタカーの任意保険で損害賠償を支払うことができるのです。保険の契約内容によっては5万円まで借り主が払う(免責金額)といった契約が含まれる場合もありますが、これは被害者にはまったく関係ない話しですから気にする必要はありません。
もちろん、すべての車は自賠責保険に入る事を義務付けられているため、レンタカーであっても自賠責保険に対して損害賠償を請求することもできます。
ただし、自賠責保険と任意保険の限度額を超えるような損害賠償額の場合、レンタカー会社から現金で損害賠償を受け取ることは難しいでしょう。
そういった場合は、あらためて加害者に損害賠償を請求するしかありません。
レンタカー会社に対する判例
1960年代、レンタカー会社には「運行共用者」として損害賠償を支払う義務は無いという判例が出ています。ただし、この当時は交通量も少なく免許の所持者も少なかったため、今の交通事情とは大きな隔たりがあります。
そのため、現在では被害者保護の観点からそのような判例が出されることはありません。レンタカー会社に「運行共用者」として損害賠償の支払いを命じる事が通例となっています。
レンタカー会社が任意保険に入っていない場合
万が一相手が小さな零細レンタカー会社で、車に任意保険を掛けていなかった場合、相手の自賠責保険に対してのみ保険金を請求することになります。つまり自賠責保険の限度額を超える損害賠償を保険金で賄うことができないのです。ただし、裁判で争えば現金による損害賠償の支払いを勝ち取る可能性は高いでしょう。