交通違反をしてしまった人が「今日スピード違反して、20キロ超過で2点も減点されちゃった」といった会話をしていることがありますが、厳密にはこれは正しくありません。
交通違反による罰則は、減点ではなく「加点方式」が取られているからです。
「いやいや減点も加点も関係ないでしょ、ある点数まで行ったらどうせ免許停止になるんだから」という人もいると思いますが、この「減点方式」か「加点方式」かは、その内容と意味によって大きな違いがあります。
6点以下までは無罪?
そもそも減点方式で考えている人には、「持ち点が6点あるから、それまではいくら違反しても大丈夫だ」といった考えがあると思います。しかし、これは法律上の意味から考えると大きな勘違いといえます。
たとえ2点の違反であってもその行為が罪に問われている事実は変わりません。これに対して「持ち点が0になるまでは罪に問われない」といった考えは、小さな違反であれば無罪といっているのに等しいのです。
こういったことは普段の生活に置き換えてみれば良くわかります。「小さなものなら盗んでも罪に問われない」なんて事はなく、どんなものでも他人の物を盗めばそれは立派な犯罪となります。
そういった意味と経緯があり、交通法規では「加点方式」による罰則が取られているのです。
免停の回数によって、免停となる限度が下げられる
これは「免停」の回数による「次の免停が執行される点数」にもよく表れています。
今まで免停の経験のない人は「6点」が「免停」を執行される点数となりますが、一度でも免停を経験すると、次からは免停の回数に応じて「5点」「4点」とどんどんと厳しくなっていきます。しかも、免停経験なしの場合は免停期間「30日」からのスタートとなりますが、この期間も免停回数と違反点数に応じて「60日」「90日」と徐々に厳しくなります。
一度犯した罪は簡単には消えない
つまり、点数や免停回数が多ければ多いほど、それに対する罰則も比例して大きくなるということです。
これは、一度「免停」まで行っても、しっかりと免停期間を過ごして復活すれば、「真面目に運転している人と同じ条件に戻る」という事を正面から否定している事になります。
一度犯してしまった罪は簡単に消えることはなく、その1点1点に大きな意味が持たされているのです。また、軽微な罪だからといって許されているわけではなく、「加点」という方式によってしっかりとドライバーに「罰」を積み重ねて与えているのです。
まあ悪いことをすれば「減点」され、良いことをすれば「加点」されると考えれば、この交通法規による「加点」に少々違和感があるのも事実ですが。