ハイブリッドカーは、エネルギー効率を上げるため、エネルギーが余っている時に電気を発電してバッテリーに蓄え、エンジンだけで走ると効率が悪くなる時にこのバッテリーに蓄えた電気を使って、モーター走行及び、モーターアシスト走行を行います。
つまり、エネルギー効率の良い走行をしようと思えば、エンジンとモーターの制御だけではなく、「いつどれだけの電気をバッテリーに蓄え、どんな時に電気を使うか?」というバッテリー充電率の制御が重要になります。
目次
- 道路の状況が分かればバッテリー充電率を適切に制御できる
- ハイブリッドカーの車載コンピューターとナビの地図情報を連携させる
- 交通情報を使ってさらにエネルギー効率を向上させる
- ナビゲーションのルート設定に合わせて走行計画を作る
道路の状況が分かればバッテリー充電率を適切に制御できる
通常、ハイブリッドカーはこの先の道路状況を知ることはできませんので、ドライバーの運転状況(アクセルやブレーキ操作など)や車の状況(車速や燃費)などをもとに、バッテリーの充電率をコントロールしています。
例えば、アクセル開度が小さくノロノロとした運転が続く場合は、バッテリーからの電気を使った電気モーターでの走行が多くなりますので、バッテリー容量が少なくなる前に、エンジンを始動して早めに充電を開始します。
ただ、車の車載コンピューターはこの先の道路状況を知りませんので、どの位まで充電しておけば良いのか正確に知ることができません。そのため、どんな状況になっても対応できるように、最大値付近(電気を完全に満充電すると電池が劣化する)まで電気を充電することになります。
つまり、車載コンピューターにこの先の道路状況がある程度分かっていれば、ハイブリッドカーはバッテリー充電率を正確に制御できることになり、さらにエネルギー効率を向上できるのです。
ハイブリッドカーの車載コンピューターとナビの地図情報を連携させる
ここで活用できるのが、ナビゲーションシステムのために用意されている地図情報です。
この地図情報とハイブリッドカーの車載コンピューターを連携させれば、車はこの先の道路状況を正確に知る事が出来るので、ハイブリッドカーのエネルギー効率を理想的な領域まで高める事になります。
例えば、この先に長い下りの続く坂道があれば、車は坂道を登りきるまでにバッテリーの電気を使いきったとしても、全く困る事はありません。その後に続く下り坂でたっぷりと充電をする事ができるからです。また、車はこの下り坂がどこまで続くかわかっていますから、ある程度のところまで充電してしまえば、あとは充電を停止して滑空状態で下るか、充電量を抑えて回生ブレーキを温存するか、効率の良いパターンを選択することができます。
交通情報を使ってさらにエネルギー効率を向上させる
また、ナビゲーションシステムには、「交通情報(VICS)」というこの先の渋滞情報などを知るための機能があります。
この渋滞情報と地図情報を組み合わせれば、この先に長い渋滞が発生していることをハイブリッドカーに知らせることができます。渋滞を検知したハイブリッドカーは、渋滞にはまる前にたっぷりと電気を充電し、渋滞中には電気を使って効率の良いノロノロ運転を行うことができます。また、ナビゲーションは地図情報を使うことで「遠回りになるけど、時間とエネルギーを節約できる効率の良いルート」を案内することも可能です。
ナビゲーションのルート設定に合わせて走行計画を作る
このナビゲーションによる、ハイブリッドカーの情報アシストは、ドライバーがルートを設定することで、さらにエネルギー効率の精度を高めることができます。それは、ドライバーがルートを設定した時に、ルート全体を通して「エネルギー効率の良い走り方」を瞬時に計画できる事になるからです。