ハイブリッドカーは、電気モーターやバッテリー、エンジンなど様々な部品の集合体ですが、車全体の効率を最大限にまで高めて走らせようとすると、これら数々の部品の状態を常に監視しながら、さらに細かく制御してやる必要があります。
言葉で解説すると簡単ですが、実際にこの複雑なシステムを無駄なく協調させて制御するの至難の技です。
目次
- 各部を機能ごとに分けて分類・整理する
- 実際のハイブリッドカーでは
- EVモード(電気モーター走行)
- ハイブリッドモード(電気モーター+エンジン)
- 複雑なシステムを効率良く設計する
各部を機能ごとに分けて分類・整理する
そこでハイブリッドカーの開発では、これらの小さな部品の数々を一度バラバラにして、その部品の機能ごとにグループ分けを行うことで整理します。
次にハイブリッドカー全体をコントロールする「指令部」と、実際に車を動かす「動作部」に大きくまとめます。
「指令部」では、上位の意思決定システムである「ECU」が、各部のセンサーから上がってきた情報を統合、整理した後に、その情報をもとに「動作部」に対して適切な指令を行います。
「動作部」では各部に小さな「ECU」が備わり、稼働部分の状態や路面状況などをセンサーによってそれぞれ細かく収集しています。この情報を「指令部」に送信し、それによって「指令部」が下した指令を受け取ることで可動部分を適切に動作させています。
実際のハイブリッドカーでは
これを実際のハイブリッドカーを例に解説してみます。
ハイブリッドカーでは、「EVモード(電気モーター走行)」と、「ハイブリッドモード(電気モーター+エンジン)」を使い分けて効率の良い走行を行いますが、この制御には「指令部」による指令情報が使われています。
EVモード(電気モーター走行)
たっぷりとバッテリーに電気が蓄えられており、車が停止状態から発進しようとする時には、効率の良い発進が行える電気モーターによる走行が「指令部」により選択されます。
次にその指令情報を受け取った「動作部」は、電気モーターを作動させて車を発進させます。
ハイブリッドモード(電気モーター+エンジン)
その後、ある程度スピードが乗ってきてエンジンを回しても効率の良い運転ができると「指令部」が判断すれば、「エンジンを始動させよ」という指令情報が「動作部」に対して送信されます。
この情報を受け取った「動作部」は、エンジンを始動させることで電気モーターと協調して効率の良い走行を行います。
複雑なシステムを効率良く設計する
このようにある程度複雑なシステムであっても、小さなモジュールごとに切りわけて分類・整理することで、効率の良いシステムを設計することが可能になるのです。
日本がハイブリッドカー技術で世界をリードできたのは、こういった「複雑なシステムをすり合わせて効率の良いシステムにまとめ上げる」というやり方が得意だったというもの一因です。