ひき逃げにより加害者が事故現場から逃走して見つからない場合は、当然ながら加害者の自賠責保険は使えません。しかし、それに代わる補償制度が政府によって用意されています。それが「政府補償制度」というもので、自賠責保険と同じ内容の保障を受けることができます。これは事故相手が無保険車の場合も同じです。
ただこの制度では自賠責保険に定められた限度額までしか補償されませんので、残念ながらその額を超えた分は被害者自身が支払うしかありません。
事故現場には多くの証拠が残される
事故現場には加害者の車の塗料やヘッドライトの破片、目撃情報や監視カメラの映像など数多くの証拠が残されます。最近は「Nシステム」といった自動車のナンバーを自動で読み取る装置まで設置されているので、加害者が完全に逃げ切るというのは難しいでしょう。
犯人には損害賠償金のすべてが請求される
警察の捜査の結果、後日、加害者が見つかれば加害者は「政府補償制度」で立て替えられている金額を含めて、すべての損害賠償金を被害者に支払う必要があります。ひき逃げとなれば、裁判官の心象も極端に悪くなりますので、補償額が減額されることもほとんどありません。
事故現場では救命措置を行う
このようにひき逃げ犯がその事故現場から逃げてしまった場合は、犯人に多くのペナルティが課せられます。また、一度逃げたとしても狭い日本列島の中ではそう簡単に逃げ切れるものではありません。
事故を起こした際には、その加害者、被害者の別に関わらず、現場での救命措置はドライバーの義務です。その後は怪我人ともども安全な場所に退避して、警察や救急車を呼び到着を待ちましょう。
被害者がパニック状態で「怪我はありませんから行ってください」と言った場合も、安易に現場を離れるべきではありません。後日、被害者があなたにひき逃げされたと警察に伝えれば、あなたはひき逃げ犯として指名手配されることもあります。
こういった場合も後のことを考えて、警察への連絡だけはしておきましょう。相手に怪我がなければ救急車を呼ぶ必要はありませんが、相手の加入している保険会社や相手の連絡先は聞いておいた方がいいでしょう。その際は同時に自分の連絡先も相手に伝えておきます。
損害賠償請求権の時効
また犯人が逃亡している間は損害賠償請求権の時効は発生しません。時効の発生は犯人が見つかり被害者が犯人の存在を知った時点から起算して3年後となります。