今回は「新型 ダイハツ ムーヴ キャンバス G メイクアップ SAⅡ」を試乗レポートいたします。
ダイハツ ムーヴ キャンバスは、2016年に登場した軽ハイト系ワゴンのブランニューモデルです。
6代目ムーヴをベースに開発された派生車種で、基本コンポーネントの多くをスーパーハイト系ワゴンのタントと共有しています。
外観
全長3395mmX全幅1475mmX全高1655mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2455mmとなります。
往年の「ワーゲンバス(VWタイプⅡ)」を彷彿とさせるような特徴的なスタイリングとカラーリングが与えられています。自社内の過去の資産を引っ張り出してきて、新しく焼き直すという手法は最近よく行われていますが、他社からちょうだいしてきて手軽に纏めるこういった手法はちょっと節操がなさすぎますね。
フロント
フロントエンブレムがダイハツの「D」マークではなく、VWと同じ「丸形」となっているのも偶然似てしまったというには無理があるレベルです。
ただ、全体としては丸みを帯びた愛らしいデザインで、若い女性に喜ばれそうです。
サイド
サブネームには「ムーヴ」の名前が付きますが、実際にこの「ムーヴキャンバス」を横から眺めると、多くのコンポーネントを共有する「タント」との高い類似性がみてとれます。
ボディシルエットや細かいプレスラインはもとより、両側スライドドア機構もタントの物がそのまま使われています。
ただ特徴的なカラーリングと若干背の低いスタイリングにより、タントとはまた違った、ムーヴキャンバスならではの独自の世界観が形作られています。
リア
リアエンドは、タントとキャスト・スタイルを足して二で割ったようなイメージです。メッキモールが多用されていることもあり、少しクラシックな印象を持ちます。
主な外装の装備
14インチ2トーンカラードフルホイールキャップ、LEDヘッドランプ(AFS・オートレベリング機能・LEDヘッドクリアランスランプ付き)、両側スライドドア、メッキバンパーモール、メッキサイドモール、メッキドアアウターハンドル、LEDフォグランプ、リアコンビネーションランプ(LEDストップランプ)
内装
女性受けしそうな上質でおしゃれな内装です。外装パーツは多くの部分でタントとの共用部品が使われていましたが、内装パーツにはムーヴキャンバス独自のデザインがふんだんに使われています。インプレッサ、フォレスター、レヴォーグと多くの車で内装を共有するスバルと比べるとちょっと贅沢ですね。
センターメーターが装備されているため、ナビはセンターコンソール中段へ押し込まれています。そのため、ナビを見るには視線移動が大きくなりがちです。まあ、運転中はもっぱら音声ガイドを使うので問題ありませんが。
フロントシートにはたっぷりとした厚みと適度なコシがあり、しばらく乗っていても腰が痛くなるようなことはありません。
反面リアシートはクッションの厚みが薄く、鉄板の上に座っているようで苦痛です。ダイハツとしては、こういった車のユーザーはリアシートをあまり使わないと判断したのでしょう。
側面にはタントから流用された両側自動スライドドアが装備されています。小さな子供をつれて買い物をするお母さんにはうれしい装備ですね。
主な内装の装備
インテリアアクセントカラー(マイルドモカ、ファインミント、ミストピンク)「オーディオパネル、インパネトレイ(助手席)、ワンプッシュ式オートオープンカップホルダー(助手席)、ドアアームレスト」
内装メッキ加飾「インパネセンターシフト、シフトゲートリング、エアコンレジスターノブ、メッキインナードアハンドル、センタークラスター」
専用ファブリックシート、SRSサイドエアバッグ
エンジンとミッション
658ccの直列3気筒DOHCエンジンに、CVTが組み合わされます。
エンジンは、52ps/6800rpmの最高出力と、6.1kgf・m/5200rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は920kgで、JC08モード燃費は、28.6km/lとなります。
エンジンは自然吸気エンジンのみでターボはありません。街中で普通に流して走るだけなら十分な動力性能ですが、坂道や合流など、ここぞという場面でのパンチはありません。
組み合わされるCVTは「ヒュー」という独特の音が耳に付きますが、この「ムーヴキャンバス」はスポーティな味をアピールするような車ではないので特に問題はありません。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
軽自動車としては車重が重いため、走りのフィーリングは比較的穏やかです。また、ハンドリングも自然で違和感はありません。
背が高く重いボディに廉価なトーションビームが組み合わされているため、路面の段差では衝撃をいなしきれずバタバタとした荒い乗り心地になります。
評価のまとめ
しっかりと煮詰めて作られたタントがベースとなっているため、車自体に大きな破綻はありません。
車が好きな人から見れば、お気軽にワーゲンバスのイメージを拝借している感じはちょっと気になるかもしれません。ただ、この車のメインターゲットとなる若い女性でそんなことを気にする人はいないでしょう。
荷物や人もそこそこ積めて、ちょっとおしゃれでかわいい足代わりの車がほしいと思っている人にはピッタリな一台です。
価格
価格 | 1,544,400円(税込み)