新型 シボレー キャプティバ【試乗評価】 アメリカンSUVらしいゆったりとした乗り心地

シボレーキャプティバ前面画像

今回の【試乗評価】は「新型 シボレー キャプティバ」。
2006年に登場した、MクラスのクロスオーバーSUV(5ドア)です。

日本市場への投入は、2011年に行われたマイナーチェンジ以降の中期モデルから。販売ブランドはシボレーですが、生産拠点はアメリカ本国でなはく韓国です。大宇GMがGMに買収されたのをきっかけに発足した、GM韓国が生産を行います。

GMが世界に展開するグローバルモデルで、開発もアメリカと欧州、韓国やオーストラリア、メキシコが共同で行いました。

昔からGM系の欧州ブランド「オペル(2017年にPSAグループに売却)」が手がける車は「いかにも欧州車」っていう佇まいがあるんですが、この韓国GM製のシボレー・キャプティバも昔ながらのアメ車っていう感じじゃありませんね。無国籍なデザインやアメ車としてはちょっとコンパクトなボディサイズの影響で、オリエンタルな異国情緒があります。

その分、フルサイズSUV「シボレー・タホ」なんかと比べれば押し出し感は今ひとつですが、比較的コンパクト(タホと比べればですが)なんで日本の道路でも使いやすいです。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓
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の概要

日本でも使いやすいギリギリのサイズで、室内も広々。7人乗り3列シートが備わります。多人数乗りミニバン的な使い方もできるんで、「ミニバンでは所帯じみて嫌だなー」なんて考えている人にはピッタリです。

日本市場に導入されるのは、右ハンドル仕様のみ。昔みたいに「アメ車なんだから左ハンドルで乗りなさいよ!」なんて押し付けがましさはありません。

グレード構成は、装備を抑えた「ベースグレード(379万円)」と上級グレード「ラグジュアリー(414万円)」の二種。安全関係の装備はどちらも同じで、違いはシートヒーター付きレザーシートと電動スライディングルーフの「有る無し」くらいです。価格差が35万もあるんで、これらの装備が要らない人はベースグレードで十分でしょう。

プラットフォームなど

プラットフォーム(基本骨格)は、同じGMグループ内の「キャデラック・SRX(2代目)」や「シボレー・エキノックス」でも使われている「シータ・プラットフォーム」。

パワートレーンは、「エコテックエンジン」と呼ばれる2.4リッター自然吸気エンジンと6速AT、電子制御式4WDの組み合わせのみ。世界市場向けとしては、2.2リッターディーゼルターボや3リッターV6エンジンなんかもあります。台数のあまり見込めない日本市場向けは、「グレード展開を絞っている」ってことかな。

ライバルは

ライバルは「マツダCX-8」や「日産エクストレイル(7人乗り仕様)」、「三菱アウトランダー」など3列シートを備えるミドルクラスSUV。「シボレー・キャプティバ」は、外国車ということもあって若干お高い感じです。

マイナーチェンジ情報

2011年にマイナーチェンジを実施。ホンダCR-Vにも似たクリーンなフロントフェイスから、エキゾチックなフロントフェイスに変更されました。日本市場へ導入されたのはこの中期モデルからです。ちょっとややこしいですが、グローバルモデルとしては中期モデル、日本市場向けとしては新型車というという事になります。

2016年の小改良でフロントグリルやフォグ周り、フロントアンダーガードのデザインを変更。ヘッドライトには「LEDポジションランプ」が内蔵されました。

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外観

ボディサイズ、全長4690mmX全幅1850mmX全高1790mm。ホイールベース、2710mm。

Mクラス(中型)といってもそれはシボレーブランド内でのこと。日本市場で自由に乗り回すなら、これくらいのサイズが限度でしょう。

フロント

フォード・フォーカスあたりを彷彿とさせる、スポーティで凝縮感のあるフロントフェイス。ビッグマイナーチェンジやその後の小改良を経て、どんどん熟成していく感じが面白いです。

安っぽさの見え隠れしていた中期モデルから一転して、緻密さとか質感の高さを感じさせる車に仕上がってます。

サイド

SUVとしては長めのフロントノーズに、傾斜の強い前後ピラー(柱)。今流行りのクーペ調クロスオーバーSUVに近いスポーティなサイドビューです。といっても、実際には後ピラーの傾斜はそれほどでもなく、クーペ調に見えているのは緩やかに絞り込まれるサイドウィンドウのせいでしょう。

要するに、「カッコいいスタイリングと室内空間の広さをデザインの力で両立している」ってことです。

リア

シボレーキャプティバ後部画像

張りのある面とリズミカルに配置された各要素(リアウィンドウとかリアコンビランプなどなど)のコンビネーションが抜群。シンプルだけど、見ているだけで楽しくなるデザインです。

小改良でリアコンビランプ(リフレクター)やリアガーニッシュ、リアアンダーガード形状が見直され、メカニカルな緻密さや上質感が増したんじゃないでしょうか。

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内装

シボレーキャプティバ内装画像

マイナーチェンジでインパネ周りのデザインが変更され、ぐっと一体感が増してます。緻密なラインで描かれたシルバーパーツの効果もあって、中期モデルより上質な感じです。アメ車というよりも日本車に近い雰囲気です。なので、アメ車の雰囲気が好きな人には物足りないかもしれません。

メーターナセルはオーソドックスな二眼メーターから、クロムリングで縁取られた砲弾型の二眼メーターに変更。中央には車輌情報(走行距離とか燃費、シフトポジション)などを表示する小型ディスプレイも付いて、使い勝手が良いです。

センターコンソールには今流行りのインフォテイメントシステムを装備。「Apple CarPlay」や「Android Auto」にも対応してるんで、手持ちのスマートフォンと接続すれば、音楽や電話、地図なんかを自由にコントロールできます。もちろん、タッチパネル式なんで使い勝手はスマホそのもの。音声によるコントロールも可能です。

頭上のグラスホルダーやセンターコンソール、各種小物入れが豊富に用意されるんで、収納関係で不便に思うことは無いでしょう。目線が高く車両感覚は掴みやすいんですが、ぶっといAピラー(一番前の柱)とその根本にあるバカでかいドアミラーのせいで斜め前方の死角が大きいです。市街地なんかでこの後に歩行者がいると、まったく見え無いことも。危ないなあと感じる場所では、頭を前後させて視線を変えてください。

シート

シボレーキャプティバ前席シート画像

シートの高さが絶妙なんで、乗り降りがしやすく、同時に目線もそこそこ高いから車両感覚が掴みやすいです。フロアの低いFFプラットフォームのおかげでしょうね。

フロントシートはアメ車らしいフカフカな座り心地。大柄なフレームと分厚く柔らかなクッションが効いてます。もちろん、柔らかいといってもしっかりとした芯があるんで、安いシートのように腰が痛くなることはありません。

セカンドシートは多少平板なカタチですが、座り心地自体は良いです。ロングホイールベースのおかげで足元が広く、頭上空間も広大。背もたれの角度も調整できるんで、長距離ドライブも苦になりません。

サードシートはセカンドシートを折りたたんで乗り込むタイプ。レバー操作ひとつで簡単に折り畳めるので使い勝手は良いです。フロントシートやセカンドシートよりも平板でクッションも薄くなりますが、サイズがあるので座り心地はまずまず。座面が低いんで、足を折り畳んで座ると膝の裏がシートから浮き上がります。まあ、足を前に投げ出せばなんとか我慢できますが。なんにせよ、室内空間が広いので狭苦しさはありません。

後にいくほど目線が高くなることもあって、ある程度の視界が確保されてるのも嬉しいポイントです。いわゆる「シアターシート」ってやつですね。

荷室

サードシートを展開していると荷室スペースは最小限(97リッター)です。ヴィッツなんかよりも狭い感じで、手荷物や買い物袋を置くとその他には何も積めません。まあもちろん普段はサードシートを折りたたんで使うでしょうから、その場合は十分な容量(477リッター)があります。それなら家族4人でキャンプも余裕です。

さらにセカンドシートを折りたためば、商用バン並の広大なスペース(1577リッター)が出現します。イケアで大型家具を買うなら、これくらいの容量はほしいですね。その他にもアウトドア趣味とか車中泊、色々な妄想が膨らんじゃいます。

静粛性

アクセルを踏み込んでフル加速すればそれなりにノイズを高めますが、SUVにしてはエンジン音が小さく室内はわりと静か。風切り音やロードノイズもよく抑えられています。特にエンジン回転が低く保たれる高速巡航時は、ノイズが軽減して静かさの次元が変わります。

エンジンとトランスミッション

2382cc・直列4気筒DOHCエンジンに、6速ATを搭載。
エンジンは、最高出力167ps/5600rpm、最大トルク23.4kgf・m/4600rpmを発揮。

車両重量1830kg。

エンジン

2.4リッターのツインカムエンジンで4輪を駆動(フルタイム4WD)。1.8tあまりの重量級ボディに2.4リッターの自然吸気エンジンですから、有り余るほどの爆発的パワーはありません。それでも、組み合わされるATが賢いので結構スムーズに走ることは走ります。上り坂や合流ポイントでも、エンジン回転を高めて必要十分なパワーを生み出します。

特にこれといった強い個性は無いものの、与えられた仕事を淡々とこなす実用的なパワーユニットです。

組み合わされる駆動システムは、オンデマンド式の電子制御AWD。前後駆動配分100:0の「FF状態」を基本にして、50:50の「4WDモード」まで状況に合わせて巧みに制御します。

4WDといってもタイヤの限界を超えてグリップするわけではありませんが、これにスタッドレスタイヤを組み合わせれば雪山でも怖くありません。もちろん、速度を抑えた安全運転は必須ですけど。

トランスミッション

トルコン式の6速ATを装備。フロアシフトを操作して手動でギアを擬似的に変速する「ドライバーシフトコントロール」も付いてます。やや高回転型の小さなエンジンを巧みに制御して、重いボディを十分に加速させるだけのパワーを作り出します。トルコン式ならではのスムーズかつダイレクトな変速フィールが心地いいです。

乗り心地とハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、235/50R19。

低速域では多少硬さを感じさせるゴツゴツとした乗り味。なんですが、速度を上げることによってしっとりとした乗り味の良さとか穏やかさが増して、いわゆるアメ車的な鷹揚な感じも顔を出します。

高速域ではサスが柔軟にストロークするんで姿勢変化が少ないです。多少の轍や横風なんかは物ともせず、フラットな姿勢を維持してドッシリと直進します。

荒れた路面では大型SUVならではの”ユサユサ”とした揺れを伴いますが、ベースが普通のモノコックフレームなので気になるほどではありません。

ハンドリング

大柄なボディのわりにハンドリングは意外と素直。しっかりとした剛性感も伴います。前後のトルク配分をコンピュータで緻密に制御する電子制御AWDや、高価なマルチリンクサスのおかげでしょう。腰高感はそれなりだけど、操舵感を乱すほどでは無いって感じです。

もちろん、これだけの車高と重量があるんでコーナーでは多少ロールを許します。といっても挙動の変化が自然で予測しやすいので、法定速度+αくらいまでなら普通に走れます。

先進安全技術

もう登場から12年以上(2018年現在)が経過しているので、プリクラッシュブレーキとかステアリングアシスト、アダプティブクルーズコントロールといった最新デバイスは付きません。

といっても心配はないです。クラッシャブルボディや6エアバッグ、トラクションコントロールなどの基本的な安全装備は完璧ですから。加えて、後退時に後を横切る車両を検知して知らせる「リアクロストラフィックアラート」や、斜め後方の死角にいる車両を検知して知らせる「サイドブラインドゾーンアラート」などの「運転支援技術」もバッチリ装備されます。

【試乗評価】のまとめ

「新型 シボレー キャプティバ」は、MクラスのクロスオーバーSUV(5ドア)。クロスカントリー風の逞しい外観とオンロードの快適な走りを両立してます。

大柄なボディとロングホイールベースの効果で室内は広々。3列シートなんで7人乗りも可能です。サードシートを折りたためば、その分、荷室も相当広くなります。

超重量級ボディに2.4リッターの自然吸気エンジンなんで、爆発的なパワーはありません。それでも組み合わされる6ATが賢いので、回転を高めつつ必要十分なパワーは生み出されます。

低速域ではややコツコツとした硬さが気になりますが、速度を上げれば大らかで優しい乗り味に変化します。ロールの出方も穏やかでハンドリングも素直。右に左にとカーブの連続するワインディングでもスムーズに走れます。もちろん、スポーツカーのように軽快に走り抜けるというわけではありませんが。

「中型のクロスオーバーSUVに乗りたいが、日本車ではありきたりで面白みが無い」とか、「適度な異国情緒を感じさせつつも、日本車に近い完成度も欲しい」なんて人にピッタリな車です。

中古車市場では

2017年式「シボレー キャプティバ」で260万円前後。2014年式で200万円前後(2018年11月現在)。

新車価格

3,790,000円(消費税込み)

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)