今回は「新型ミニクーパー (F56)」を試乗レポートいたします。
2013年に登場したBMWの手によるこのミニクーパーは、今回のモデルチェンジで3代目となりました。
外観
全長3860mmX全幅1725mmX全高1430mmのボディサイズを持ちます。またホイールベースは2495mmとなります。
旧型から長さと幅がやや拡大され3ナンバーサイズになりました。しかし見た目の印象からは、そんなに大きくなったような感じはありません、
全体のスタイリングも先代から受け継がれるキープコンセプトです。この3ドアボディは5ドアボディよりも全長が短く、全体のまとまり感も高いです。
フロントには、ミニのアイコンである丸形ヘッドライトと、緩やかな楕円形のグリルが装備されています。
日本車ではなぜか真似のできない、甘さのない大人のかわいらしさがあります。
サイドに回ると、短くコンパクトなボディに、ピラー(柱)を全部ブラックアウトして、ルーフが浮いたように見えるデザインが採用されています。
これもミニをミニらしく見せるための、お約束のデザイン処理です。
リアコンビランプは、緩やかな丸みのある四角形がモチーフに使われ、遠目からでもミニだと分かるキュートなデザインです。
リアスタイル全体の印象は、厚みのあるボディに少し小さなキャビンが載せられ、どっしりとした印象です。
内装
内装は思い切った造形でポップな印象のデザインです。メーター等は大きくレイアウトされ、実用性の高い使い勝手の良い内装です。
先代のセンターメーターは廃止され、ステアリングの奥に配置されています。それに合わせてヘッドアップディスプレイが採用され、視線移動が最小限で済むように配慮されています。
先代でセンターメーターのあった場所には、ナビも表示できるモニターが設置されています。
このモニターの外周には大きな円形状にLEDが埋め込まれ、エコドライブではグリーン、エアコンの操作ではブルーやレッドに発光して、車内を華やかに演出します。
試乗車だけの問題かもしれませんが、室内のビビリ音が気になります。
エンジン音が車内に侵入してきますが、ミニらしい快活で楽しい音なので気になりません。
エンジンとミッション
1.5L直列3気筒DOHCターボエンジンに、6速ATが組み合わされます。
エンジンは、100kw(136ps)/4400rpmの最高出力と、220Nm(オーバーブースト時は230Nm)/1250-4300rpmの最大トルクを発揮します。
JC08モード燃費は、17.9km/lとなります。
この1.5Lターボは、ダウンサイジングターボらしいフラットで分厚い低速トルクを発揮します。
坂道でもスルスルと、1260kgのボディを何事も無かったかの様に加速させます。
このエンジンは振動もよく抑えられており、3気筒ならではのちょっと懐かしい趣のあるエンジン音を奏でます。
ただ難を言えば、ATのシフトショックが大きく、出足はもっさりながらもエンジンのトルクの立ち上がりが急で、ギクシャクする傾向があります。
このあたりは下位モデルのミニONEの方が、自然で扱いやすい印象です。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
サスペンションストロークは短めで、かつ適度に引き締められており、路面に吸い付くようなフラットライドな乗り心地です。
足回りは硬く標準の15インチホイールでも突き上げ感は大きめですが、その反面ロードインフォメーションが豊富で、路面の状況をリニアに伝えます。
シャープで応答性に優れたステアリングフィールです。
良く言われる、ミニならではのゴーカートフィーリングは健在で、自然なキビキビ感と快適な乗り心地が上手く両立されています。
短めのサスストロークによりロールは最小限で、曲がりくねった道でもすいすいと走り抜けていきます。
評価のまとめ
初代のミニからコンセプトを受け継ぎ、圧倒的な個性と魅力を持ちます。
このクラスの欧州車には魅力溢れる車が沢山ありますが、中でもミニはオリジナルミニから受け継ぐ伝統と、新世代ミニから打ち出した独特でモダンな魅力が持ち味です。
日本車には存在しない、甘さのまったくない大人のかわいさも、ミニだけの大きなアドバンテージです。
このスタイルと世界観が気に入ったのなら、迷わずオススメの一台といえます。
価格
価格 | 2,980,000円(税込み)