今回は「新型ダイハツ コペン ローブ(5MT)」をレポートします。
東京モーターショーで発表され、大人気を受けて販売モデルとなったコペンの2代目モデルです。
外観はクラシックな先代とまったく印象の異なる、先進的なデザインです。
この後に、ライトクロカン風モデル「X」と、先代に似たクラシックな丸目「セロ」の2モデルが追加されました。
外観
初めてコペンの写真を見たときは、「なんだか線がうるさくて、落ち着かないガチャガチャしたデザインだな」という印象でした。
しかし、街で見かけるとその印象は全く違うものになりました。
面のうねりが情緒的で質感あふれるものに感じられ、また全体のマッシブな塊感も表現されているので、何度も見返したくなる様な良いデザインです。
工業製品の、とくに自動車のスタイリングは「この面の質感(光の反射具合)」というものが重要なんですが、これがメーカーの出してくる宣伝写真には写りにくいんです。
宣伝写真はプロの写真家が、ライティングや事後の修正などテクニックを駆使して、完璧な設備のあるスタジオで撮るものです。
そのせいで、実際にはあり得ないようなボディの光り方をしてしまうという欠点があります。
これが、実車と宣伝写真の印象がまったく違って見える原因です。
その点、自動車雑誌などで撮られている、野外での実車写真の方が参考になります。
軽自動車でありながらここまで質感のある面が実現できているのは、おそらく外板が樹脂製ということが理由でしょう。
樹脂製の外板は、金属製の外板より比較的自由な造形が可能です。
やはり日本車の質感が低いのは、「金属製の外板で微妙な曲面を表現するにはコストがかかる」ということが大きいのでしょう。
内装
普通の軽自動車用といった面持ちの内装デザインです。
せっかくコペン専用の内装を与えているのに、これではもったいないです。
変に曲線や丸い角、ちょっと傾けた直線などを使うと、どうしても日常感や安物感が出てしまいます。
ここは思い切り良く、シンプルな直線と面で構成したほうが、スパルタンでかっこいい内装になると思います。
コペンのキャラクターからしても、そちらの方が似合うでしょう。
電動メタルハードトップを装備しているため、快適性は普通の軽自動車と変わりません。
日本は雨の多い気候ですから、この装備は嬉しいですね。
エンジンとミッション
ダウンサイジングターボと5速マニュアルギアボックスが組み合わされています。
軽自動車の実用モデルによく使われる仕様のロープレッシャーターボで、穏やかな自然吸気1Lエンジンのような特性です。
マフラーにサウンドチューンが施されており、高回転まで回すと抜けるような快音に変わります。
しかし、どっかんターボの様なドラマチックな加速感はありません。
5速マニュアルギアボックスは、節度感と剛性感のある小気味良いタッチです。
軽量ボディとこの5速マニュアルギアボックスの組み合わせにより、リズミカルで気持ちのいい加速感が得られます。
足回りとハンドリング
引き締まった足回りですが、硬すぎることはありません。
上級グレードのSは、ビルシュタインダンパーが装備され、さらに引き締まった硬い足回となります。
ハンドリングはその短いホイールベースと、軽量ボディを生かしてシュアで機敏なものです。
特性は何ら癖のあるものではなく、素直でリニアです。
ハーシュネス性能は軽四なりで、若干突き上げ感があります。
うねるような路面状態ですと、短いホイールベースが災いして、ピッチングのおさまりが悪いです。
その他
実はコペンは外板パネルを樹脂製とすることで、始めから着せ替えができる仕組みになっています。
コペンの「ローブ」と「セロ」とは外観の印象がまるで違いますが、セット価格374,760円の樹脂製の外観キットを購入することで、この二つの外観を着せ替えることが可能になります。
好みに応じて、前だけ、後ろだけといった着せ替えも可能です。
評価のまとめ
好みに応じて外板を着せ替えるコンセプトは面白いですね。
思いつく事はあっても、中々技術的に実現しにくい仕組みだと思います。
このコペンも安全性を考えると、サイドドアだけは樹脂パネルにできなかったそうです。
ビジネスとしても、一番最初に前衛的でモダンな「ローブ」を出し、次にライトクロカン風の「X」、最後に先代のクラシックなイメージを引き継ぐ「セロ」を出すという順番も見事です。
自動車というのは使用期間の長い商品ですので、こういった着せ替え機能を待っていたユーザーも多いのではないでしょうか?
主要諸元と価格
全長X全幅X全高 | 3395mmX1475mmX1280mm
JC08モード燃費 | 22.2km/l
価格 | 1,810,000円(税込み)