グラフィックデザイナーや小説家、ライター、イラストレーターといった職業は、会社に所属していない場合、フリーランスと呼ばれます。
これは、医師や弁護士、会計士などの専門職も同様です。テレビで見ることの多い、芸能人やスポーツ選手などもこの中に分類されます。
フリーランスの所得額
こういったフリーランスに人が事故に遭って被害者となった時、受け取る「逸失利益」の算出方法は、基本的に自営業の人たちと同じです。
一年の間に受け取った総所得から必要経費を差し引き、実質的な「所得額」を求め、これを基礎に「逸失利益」を計算するわけです。
これは、高額の所得を得ている人気芸能人から、少ない報酬でなんとかやりくりしているグラッフィックデザイナーまで基本的には変わりません。
ただし、個人商店や個人工場を経営している自営業の人との大きな違いは、仕入れの為の経費がほとんど掛からないという点です。また、経費となる部分が分かりづらく、相対的に収入の割合が大きいという特徴もあります。
直近3年間程度の所得を平均する
こういった職業の人たちは、その年ごとに大きく年収が変動することが普通です。そのため、逸失利益の元となる「所得額」を算出するには、ここ最近3年間程度の収入を平均する必要があります。
いくらフリーランスといっても、必要経費を税務署に認めてもらうため、毎年確定申告は行っているはずです。この確定申告には、その年の収入から必要経費まで、細かく正確に記載されており、またそれを証明する書類も必ず添付されています。
そのため、正確な「所得額」を求める事はそれほど難しくないはずです。といってもフリーランスの職業には、帳簿外の収入がつきものです。ただし、こういった収入にたいしても、十分に証明する書類があれば「所得額」として認められます。
フリーランスの「就労可能期間」は?
フリーランスの職業では、70歳、80歳となっても第一線で活躍する人が珍しくありません。そのため一概に「就労可能期間」を求めるのは非常に難しいのが現状です。
特に頭脳や、知識、センスに頼って行う職業であれば、実質的な定年はありません。芸術家であれば若い頃より味があると高い評価を得ることもありますし、意欲的な人であれば、死ぬ直前まで筆を離さなかったといったエピソードも聞かれます。
そのため、高齢であってもバリバリと働いているといった人の場合、平均余命までの半分を「就労可能期間」として認められることがあります。
81歳の女性で現役であれば、平均寿命87歳までの半分、84歳までが「就労可能期間」となります。