高速道路は、普通の乗用車から営業用のバン、貨物を運ぶトラックなど、さまざまな車が利用しています。そのため、こういった車から色々な物が道路上に落とされ、落とし物として回収されています。
その種類は多岐にわたり、木材や鉄骨、日用雑貨など人間が生活に使うためのほぼ全てのモノが含まれます。
今回は、こういった落とし物の中から、特に変わった「えっ!?」と驚くような珍しい落とし物のお話をお伝えします。
畜産関係の荷物を食肉加工場へと運ぶのが日課
S県S市に住むFさんは、普段、畜産関係の荷物をトラックに積み、東名高速道路を使って運搬する仕事をを生業にしています。
1989年のある日、この日も普段と変わらない業務をこなして、畜産関係の荷物を目的地へと運ぶ予定でした。
この日の荷物は、食用の豚です。畜産農家から豚を受け取り、食肉加工場へと運ぶのがFさんに課された日課です。
機嫌の悪い積荷の豚たち
この業務も特に珍しいものではなく、Fさんとしても何度も通い慣れた東名高速道路を、いつもどおりに運べばいいだけです。
しかし、この日はなぜか積荷の豚の機嫌がわるく、ざわざわと落ち着きません。
ある時、路面の段差を超えたところでこの中の一匹が暴れだし、それにつられて他の豚たちもパニックを起こしてしまいます。
豚が暴れだしたといっても、相手は完全に密閉されたコンテナの中です。そのまま気にせず運転していれば何の問題もありません。
しかし、Fさんはこの豚達の様子が気になって仕方がありません。ついに、あまりに神経を豚に向けすぎたためコーナーを曲がりきれず、中央分離帯へと乗り上げトラックを横転させてしまいました。
横転したトラックから次々と逃げ出す豚たち
これに驚いたのはとうの豚たちです。壊れたコンテナの隙間から次々と外へ逃げ出し、高速道路上を西へ東へと逃走し始めます。
その後、通報を受けて現場へ駆けつけた警察官ですが、高速道路上を走り回る豚たちに唖然としたそうです。
この様子をボーと眺めているだけでは、高速道路上を走る他の車に危険が及ぶことになります。すぐに気を取り直して、豚の捕獲をはじめます。ただ、広大な高速道路上を縦横無尽に逃げ回る豚たちをそう簡単に捕獲することはできません。普段と違う業務に悪銭苦闘しながらも、1時間以上も掛けてやっと豚たちを捕獲する事に成功しました。
この時、一部区間は閉鎖されていましたが、豚は予想以上の範囲へと逃走。これを避けるため一般ドライバーは、びっくりしながらもなんとかかわしてギリギリの運転をしていたそうです。
秋ろーの近所にも時々イノシシが出没しますが、一匹のイノシシを瞬時にかわすだけでも、かなりの反射神経を必要とします。この時よく他の被害が出なかったものだと、考えるだけで恐ろしくなります。