交通事故に巻き込まれたことによって、楽しみにしていた海外旅行をキャンセルする事になった場合、その旅行のキャンセル料を損害賠償として請求できるのでしょうか?
交通事故により様々な予定変更が発生する
人が遊びや仕事の予定を立てる時、事故に遭うことをあらかじめ想定して計画する人はいません。
そのため、突然事故に巻き込まれたといった場合には、予定の中止や延期など様々な対応をとる必要に迫られます。
出発までいくらか時間があるといったケースでは、多少のキャンセル料を支払うだけで済む場合もあるでしょう。しかし、明日に出発が迫っているといったケースでは、旅行代金のほとんどを支払わなければならないかもしれません。
これはビジネスの予定も同様で、先方に謝罪するだけで済む場合もあるでしょうが、自分の出世を左右するような大きな失敗となる場合も考えられます。
怪我が軽症で済んだからといって安心できるわけではなく、社会の一員として生活している限り事故を原因とした様々なトラブルが予想されます。
そのため、被害者に事故の大きな責任が無いケースでは、その事故により被った損害額を、加害者が犯した不法行為として損害賠償請求することができます。
損害賠償が認められるためには、事故との因果関係が必要になる
事故を起因とする予定変更により発生した損害を請求できるといっても、当然ながらすべてが認められるわけではりません。
交通事故と予定変更による損害に、それ相応の因果関係が必要となります。これを法律用語では「相当因果関係」といいます。
といってもこの「相当因果関係」に、何か厳密な基準のようなものが設定されているわけではありません。そのため損害の適応範囲を決めるためには、一般的な社会常識に基いて判断されることになります。
交通事故により、海外旅行を取りやめにしたケース
冒頭に例として取り上げた海外旅行のケースでは、事故の因果関係と損害賠償額がはっきりとしていますので、正確な証明書類をまとめて提出すれば損害賠償として認められます。海外旅行をキャンセルする事ができた場合は、キャンセル料だけを損害賠償額として請求することになります。
判例では、交通事故により被害者の実子が海外出張を取りやめたため、キャンセル料(往路分)分を損害賠償として認めたケースがあります。
さらにこのケースでは後に被害者の様態悪化によって、別の実子とその妻子が帰国した時に使った渡航費も損害賠償額として認めています。