自動車の部品の中で、一番重要な部品はブレーキです。アクセルやステアリングがおかしくなっても、そのままブレーキを踏んで停車すればなんとかなります。しかし、ブレーキが故障した場合は、車をどこかにぶつけるか盛り土に乗り上げるかしないと止める事ができません。そのため適当なぶつける場所が無い場合は、大惨事となってしまうこともあります。
このブレーキの点検でチェックする場所は、ブレーキパッドの残量と、ブレーキフルードの量です。
ブレーキパッドは、ローターに押し付けられることで自動車を減速、停止させます。ブレーキフルードは、ブレーキペダルを踏んだ力をブレーキキャリパーに伝え、ブレーキパッドをローターに押し付ける働きを担います。
ブレーキパッドの点検
ブレーキパッドの残量を点検するには、タイヤホイールを外してブレーキキャリパーという部品に設置されている点検用の窓をチェックします。車種によっては、ホイールを装着したままでも点検できる場合があります。分からなければ、ガソリンスタンドやディーラーの整備士に聞いてみてください。
点検窓から見て、ブレーキパッドの残量が2~3mm程度になっていればそろそろ交換時期です。
いつも車を定期点検に出している場合は、その都度ブレーキ残量をチェックしてくれているはずです。整備担当者にパッドの残量と後どのくらい使うことができるのか目安を聞いておくと慌てずに済みます。
ブレーキパッドの交換時期と費用
ブレーキパッドの交換は、左右同時に交換するのがセオリーです。通常は負荷の大きい前輪から換えることになります。前輪のブレーキパッドは7~8000円からとなり、市街地を頻繁に走る人の場合2~3万キロから交換時期となります。
後輪の交換時期は3~4万キロから注意が必要になり、郊外や高速道路を走ることが多い人の場合は、6~7万キロ程度までもつこともあります。価格は前輪よりも安くなりますが、ドラムブレーキの場合は分解作業が必要になるため工賃が割高になります。
ブレーキフルードの点検
ブレーキフルードの点検は、エンジンと車内を仕切る壁近くに設置されている、白い半透明のタンクで確認します。
タンクの上には「H」、下には「L」の記述があり、液面がこの範囲内にあれば正常値です。
ただし、液面が「L」よりも下にあるからといって安易にブレーキフルードを継ぎ足さないでください。ブレーキフルードは本来漏れたり減ったりしてはいけないパーツです。これが、ブレーキパッド摩耗以外の理由で減少している場合は、必ずどこかに異常やトラブルが隠れています。
こういった異常を発見した時は、すぐに専門家の整備士に連絡して、自分で車を動かそうなどとは絶対に考えないでください。
またブレーキフルードは空気に触れるとあっという間に劣化してしまいます。不用意にタンクの蓋を開けたりしないように注意してください。
ブレーキフルードが劣化すると「ベーパーロック現象」が起きる
ブレーキフルードは本来無色透明です。これが濁っている場合は、ブレーキフルードが極端に劣化していると考えられます。ブレーキフルードが劣化している場合、そのまま使い続けるとブレーキフルード内に気泡が発生して、「ベーパーロック現象」が起きることがあります。このベーパーロック現象が起きると、ブレーキペダルを踏みつけても気泡が圧縮されるだけで上手くブレーキが作動しません。
ブレーキフルードの交換時期と費用
本来ブレーキフルードは、2年ごとに交換するのが理想です。交換には1万円程度の費用がかかりますが、安全には変えられません。なるべく定期的な点検と交換を心がけましょう。