日本の車で一番高貴な車といったら、天皇陛下がご乗車される「御料車」をおいて他にありません。
「御料」とは、高貴な人が使う乗り物や道具に対して付けられる言葉で、「御料車」とは、天皇皇后両陛下がご乗車になられる車のことです。
ボディには皇室の車両であることを示す「菊の紋」が染め抜かれており、海外の国賓や各国首脳などを乗せるためにも使われます。
初代「御料車」は、大正時代に導入さた「ダイムラー・ランドレー」です。当時イギリス王室でも使われていた車と同形式のものが使われていました。
当時アジアの小国であった日本が、イギリス王室を範として皇室の近代化を図ろうとしていたのかもしれませんね。
日産・プリンスロイヤル
その後しばらく皇室は、ロールスロイスやベンツなど最高級の外国車を代々乗り継いでいました。しかし1967年になると初めて国産車の導入が検討されます。この時、導入された車こそ名車の誉れ高きあの「プリンスロイヤル(プリンス自動車)」です。
プリンスロイヤルといっても普通の市販車とは全く違う車作りがなされています。ほぼ手作りといってもいい手間の掛かる工程が採用され、製作には2年の歳月がかけられています。
黒塗りのボディに観音開きのドアが装備され、乗車定員8人に排気量6000ccのエンジンが搭載され、加えて1967年当時としては珍しいオートマチックトランスミッションも与えられています。車内の内張りには最古級「西陣織」がふんだんに張り込まれており、当時の技術の粋と贅の限りを尽くした最高級の車作りがなされています。
その後、この車を生産していたプリンス自動車は日産自動車に吸収合併されました。しかし御料車はそのまま採用され続け、「日産・プリンスロイヤル」として代替わりを繰り返しながら2006年まで使われています。
途中、昭和天皇から現天皇に替わられた時も、そのまま代替わりすることなく受け継がれています。
トヨタ・センチュリーロイヤル
2004年に経年劣化と修理パーツの調達困難により、日産自動車は宮内庁に「日産・プリンスロイヤル」の「御料車」としての採用中止を願いでます。
そこで新たに「御料車」となったのは、現在も皇室で使われている「トヨタ・センチュリーロイヤル」です。
トヨタの最高級車といったら、まず「レクサスLS」を思い浮かべる人が多いと思います。この「トヨタ・センチュリーロイヤル」はその「レクサスLS」を格式、車の質の両面において上回る最高級の車作りがなされ、価格はなんと5000万円以上となるそうから驚きです。
ナンバープレートには「皇1」という天皇の「御料車」を示すプレートが付けられ、正面には大きな「菊の紋」が備え付けられています。
先代の「日産・プリンスロイヤル」と同様、庶民がどうあがいても手に入れる事の出来ない高貴な車なのです。