急激な経済成長による貧富の格差拡大と政情の不安定化により、タイでは高額な防弾仕様車の購入が、お金持ちや政府高官の間で一大ブームとなっています。
タイのお金持ちは、メルセデスベンツが大好きで、この防弾仕様車のベース車両には「メルセデスベンツ」が選ばれれる事がほとんどです。
タイ政府の主要閣僚を守るための防弾車が購入される
2009年には、タイ政府閣僚会議において、「国内外の要人を守るための防弾仕様車20台の購入」に対して、予算決議がされました。このために追加された予算は1億2000万バーツあまりで、一台に換算すると約600万バーツ(日本円にして約1900万円)ほどという事になります。
Sクラスのハイブリッド仕様車が日本で1000万円くらいから買えますから、防弾仕様のメルセデスベンツだとするとそれほど高く無いような気もします。
タイ首相の防弾車は大衆車
もちろんこれは政府要人のための防弾仕様車ですので、それほど高級なグレードが使われているとも限りません。現にプラユット首相が2015年に購入した防弾仕様車はドイツの大衆車VWのミニバンがベースでした。
ただ、これが一般庶民の大金持ちの事となると、少し事情が変わってきます。
タイには危険がいっぱい
タイでは、経済の発展にともなって投資ブームが巻き起こり、投資ブローカーの間でいざこざや恨みを買うような人も増え、場合によっては逆恨みによる殺人事件が起きています。
同時にお金持ちを標的とした強盗殺人や誘拐事件も増え、必然的にお金持ちの人たちは自分で自分の身を守らざるをえない状況となっています。
この状況を見ていた、ドイツ系の自動車販売会社がお金持ちの為の防弾仕様車を売り出すと、瞬く間に人気となり、ベンツやアウディをベースとした高額な防弾車が飛ぶように売れています。
価格によって防弾能力にも差がある
この防弾車には、その価格によって防弾能力にも違いがあります。一番安いグレードでは、ピストルの弾を弾き返す能力が備わりますが、最上級グレードの防弾車ではアメリカ陸軍の使うM16ライフルの掃射にも耐える強度が保証されています。
その価格もピンからキリまであり、低価格の「ピストル防弾タイプ」が800万バーツ(2600万円)くらいから、最上級グレードの「M16ライフル防弾タイプ」となると1500万バーツ(4900万円)にもなります。
人から恨みを買うほど儲けている人なら、これくらいの買い物どうということはないのでしょうが、なんとも羨ましいような、ちょっと怖いようなお話ですね。