日本で行われるラリーは、大きく「SS」と「リライアビリティラン」の二つに分けられます。
スペシャルステージ
「SS」とは「スペシャルステージ」のことで、WRCなどと同じく決められた区間をどれだけ速く走れるかを競う競技です。日本では「日本ラリー選手権」など、よりレベルの高いラリーで用いられることが多いルールです。
コースは林道やクローズドサーキット、私有地など一般道と切り離された場所で行われます。こういったルールは道路網の発達した現在、コース近隣への迷惑を最小限に抑えるための工夫の一つで、日本のみならず世界的な傾向となっています。
リライアビリティラン
対する「リライアビリティラン」は日本ラリーで多く用いられているルールです。コース上に幾つかのチェックポイントが設けられており、そのチェックポイント間を決められた速度でどれだけ正確に走れるかを競います。つまり、決められた速度よりも少しでも速かったり遅かったりすると減点対象となるというわけです。
スタートは1分に一台ごとで行われ、同時に複数台がスタートすることはありません。ドライバーとナビゲーター(コ・ドライバー)には「指示書」というラリーのルール書が渡されます。
この指示書には、「指示事項」「コマ地図」「その他」が記述されており、ドライバーとナビゲーター(コ・ドライバー)はこの指示書の内容を頼りにレースを展開します。
また、チェックポイントの場所はドライバーに知らされていませんので、ここで遅れたから次の区間で取り返そうという作戦が取りにくいルールとなっています。
これは、日本の道路事情に配慮したルールで、スピードを抑えることで近隣への迷惑を最小限にする工夫が取られています。
リライアビリティランは奥の深いレース
話を聞いているだけだと、ちょっと退屈で物足りないレースのような気がしますが、実際はテクニックとスピードの求められる奥の深い競技です。
チェックポイント間の平均速度が45km/hで設定されている場合、スピードの出しにくい林道セクションでも45km/h以上のスピードを出す必要があります。
これにはコーナーでの減速分は含まれていませんので、実際にはそれ以上の速度で走ることになります。これは曲がりくねった狭い林道セクションでは結構難しいスピードです。
また、このレースは早く走ればそれで済むというものではありませんので、ナビゲーターの正確な指示書の読解能力と計算能力、それに対応するドライバーの安定したテクニックが重要になります。
日本人のラリードライバーは低速セクションが得意
日本人ドライバーが世界レベルの大会に出た時、ハイスピードセクションで苦戦することが多いのですが、反面、低速セクションでは善戦するドライバーが多い傾向にあります。
それは、国内にハイスピードセクションのコースが少ないという事の他に、こういった低速セクションによる正確さとテクニックが要求されるレース環境も影響しています。