F1GPのテレビ中継を見ていると、普通のカメラ映像に加えて、マシンに直接搭載されたオンボードカメラの映像を見ることができます。
普通のカメラと違ってこのようなオンボードカメラは、ドライバーの目線に近い臨場感あふれる映像を伝えることができます。
しかし、ここでちょっと疑問に思うのは、「カメラを搭載しているマシンと搭載していないマシンで、重量上のハンディが発生しているのではないか」という事です。
最近はカメラが小型軽量化されているとはいえ、コンマ一秒を争うF1GPの世界では、僅かな重量の差が大きな結果の違いとなって跳ね返ってくる事もあるでしょう。
結果から言ってしまうと、そんな心配は全くありません。F1マシンには、カメラの重量差を埋めるための工夫がしっかりと施されているからです。
カメラの有無による重量上のハンディは無い
少し前のF1GPでは、オンボードカメラの搭載を「当番制」で持ち回りにしていました。加えて、オンボードカメラを搭載していないマシンにも、カメラと同じ重量の重りをカメラと同じ場所に付ける事が義務付けられていました。つまり、カメラの有り無しで重量上のハンディは全く発生していなかったのです。
これに対して現在のF1GPでは、全車に同じカメラの搭載が義務付けられています。カメラの搭載によるハンディ自体が存在しないのです。
また、カメラの搭載位置はレギュレーションにより厳密に決められています。
まずは、標準装備となるドライバーの頭の後ろ、高い場所に取り付けられるオンボードカメラです。この場所には、前後に向けて二台のカメラが設置され、前方には、ドライバーのヘルメット越しに前方を映すカメラ、後方には、リアウィング越しに後方の映像を撮影するカメラが設置されています。この2つのカメラは、特にテレビ中継でもよく使われていますのであなたも見たことがあるはずです。
オンボードカメラには、この標準カメラの他にオプションのカメラもあります。例えば、フロントウィングから前方を映すカメラ、ドライバーの正面からドライバーを映すカメラ、ノーズ先端からマシン全体を映すカメラ、ドライバーの側面からドライバーを映すカメラなどです。
ピットから、全マシンのオンボードカメラを見ることができる
また、これらオンボードカメラの映像は、ピットのPCから、全マシンに取り付けられた全てのオンボードカメラの映像を自由に見ることができます。
というのもこれらオンボードカメラの映像は、テレビ中継に使うためだけではなく、ドライバーやマシンの状態を正確に把握するための「ドライブレコーダー」としての役割もあるからです。
特にマシンがクラッシュした時は、このオンボードカメラの映像が重要な役割を果たします。マシンがどのような状態になっているか、ドライバーは無事か、事故の原因はどこにあるのか、といった多角的な情報を客観的に知ることができるのです。
また、自チームのマシンが大破してカメラ映像を確認できない場合でも、他チームのカメラを利用する事で正確な情報を得ることができます。
F1マシンの臨場感をカメラ映像で堪能する
こちらは、通常のオンボードカメラではなく、ドライバーの目線とカメラのアングルが同じになるようにセッティングされた、特殊なカメラによる映像です。
できればPCで開いて大画面表示でご覧ください。実際にF1マシンに乗ってるような最高の臨場感が味わえます。撮影は、タイヤサプライヤー「ピレリ」のテストドライバー、ルーカス・ディ・クラッシによるものです。