山梨県のR町に住むYさんのお店は、国道と県道の交わる角地にあり、商売をするにはもってこいの最高の立地となっていました。
ところがこのお店、あまりに立地が良すぎるために、商売以外の大きな悩みをYさんにもたらしていたのです。
Yさんの大きな悩みとは
というのもこのYさんのお店の前を走る国道は、この近隣に他の大きなバイパスが走っていないため、昼夜を通して膨大な台数の車やトラックが走るという非常に混雑した道路でした。
また、この国道にはなんとも言えない微妙なカーブがついており、ちょっとハンドル操作を誤るだけですぐにYさんのお店に突撃してしまいそうになるという危うい構造となっていました。
このYさんの大きな悩みというのは、この道路のせいで「お店に頻繁に車が飛び込んでくる」という恐ろしい状況のことです。
Yさんのお店には、なぜか車が飛び込んでくる
まず最初のケチのつき始めは、1968年に耕運機が突っ込んできたことに始まります。この後、バイクや3輪自動車などが立て続けに飛び込んできて、Yさんはわずか3か月の間に3台の飛び込みを経験することになります。
不安に感じたYさんは地元の警察に掛け合って信号機を設置してもらいますが、これが何の助けにもなりません。その後、さらに続けて耕運機が飛び込んでくるという事故が起きてしまいます。
嫌な予感を感じたYさんは裏庭に寝室専用の離れを作り、そこで寝起きをするようになります。ところがこの離れが完成した直後、タイミングを待っていたかのように普通自動車がお店に突っ込んできました。この事故のせいでお店はツギハギだらけの悲惨な状態となってしまいます。
建設省の職員によって防護壁が設置される
この後もお店への飛び込み事故は収まらず、大型トラックが店の上に乗り上げるという大惨事が起きてしまいます。
この事故はNHKのニュースで取り上げられ、これを偶然見ていた建設省の職員によってコンクリート製の防護壁がお店の前に設置される事になります。
これで安心とホッとするYさんですが、この防護壁の完成後も災難は続きます。この防護壁には人間が出入りするための隙間が開けられていたのですが、このわずかな隙間を狙いすましたかのように小さな自動車が突っ込んできたのです。
その後も同じような事故が相次ぎ、Yさんのお店に飛び込んできた車の台数は合計で8台となりました。
甲府バイパスの完成により国道の交通量が激減
さすがにうんざりしてしまったYさんですが、ここで甲府バイパスが完成することになり、お店の前の交通量は一気に減少することになります。この後は、今までの騒動が嘘のように飛び込み事故も収まり、それ以降、1件も起きていないそうです。
交通量が激減したことでお店の収入も減ってしまいましたが、それ以上に事故が起きなくなったのが嬉しいと、Yさんはホッと胸をなでおろしたそうです。