交通事故による入院中、事故のストレスと身体的な負担によって、それまで小康状態を保っていた持病が悪化して入院期間が長びくといった事があります。
また一度は完治していたはずの病気が、事故のショックによって再発してしまうといった事もあるでしょう。その他に、可能性は低いのですが、新たに病気が発見されたり発症したりといった事も考えられます。
こういった場合、この追加の治療費を損害賠償として加害者に請求することができるのでしょうか。
事故と関係の無い症状に損害賠償請求は認められない
このような事故と直接関係の無い症状や病気の場合、基本的には損害賠償として加害者に請求することはできません。
損害賠償として加害者に請求出来るのは、あくまでも事故に直接関係している怪我の治療に限定されているからです。
そのため、事故に関係の無い理由で症状が悪化したり病気が新たに発見された場合は、その分の入院費や治療費を損害賠償から差し引いて請求することになります。
細かくは担当医師の判断による
といっても人間の体は機械ではありませんから、どこまでが事故によるものなのか、元々あった病気のせいなのか簡単に区分けすることは出来ません。
事故のショックによって症状が悪化したという事もあるでしょうし、体の弱かった部分に事故による負担が加わり症状が出たという場合もあります。また、事故の衝撃によって治療期間が長くなってしまったというケースも考えられます。
そこで重要になるのが主治医の判断です。主治医が事故の影響によって持病が悪化したと判断すれば、その分の治療費を損害賠償として加害者に請求することができます。
逆に、事故の因果関係は無いと判断されれば、持病の悪化によって入院が長引いた分の治療費は全額自腹で支払う事になります。その病状によっては、「ここまでは認められるが、それ以上は認められない」といった柔軟な判断がくだされることもあるでしょう。
ついでに検診と治療をしようとしても駄目
せっかく入院したのだから、この機会に体のメンテナンスを兼ねて全部検診して治療してもらおうと思っても、そうは問屋がおろしません。事故に直接関係ない治療費や検診費用は全額自腹で支払うことになります。