損害賠償として請求できる範囲は、その事故の後、被害者が死亡した場合と、怪我で済んだ場合によって僅かに異なります。
今回は、その事故の状況によってどの項目が損害賠償として請求できるのか、簡単に説明したいと思います。
死亡の場合
損害賠償はその内容によって「積極的損害」と「消極的損害」、「精神的損害」の三つに大別することができます。これは怪我の場合も同様です。
積極的損害
まず、「積極的損害」としては、「医療費」、「葬儀費」、「供養費」、「損害賠償請求費用」、「弁護士費用」などが含まれます。故人を埋葬するための墓石費用は含まれません。
このうち「供養費」には、初七日から百日忌までの読経費用、供物費用などが含まれます。また「損害賠償請求費用」には、損害賠償を請求する際に掛かった、交通費、通信費、調停費用などが含まれます。
「弁護士費用」は弁護士費用の全額ということではなく、訴訟に持ち込まれた時、かかった費用の1割程度を加害者に請求することができます。
消極的損害
死亡した被害者が事故に遭っていなければ得られたであろう利益(給与所得や事業利益)を、損害賠償(生活費と利息を控除した額
)として加害者に請求することができます。
精神的損害
慰謝料として、被害者の死亡によって家族が被った精神的損害を請求することができます。ただし、被害者の年齢や社会的地位、家族の中での役割(生活を支える大黒柱であったかなど)によってその額は変わります。
怪我の場合
怪我の場合は、怪我が完治をした場合と後遺症が残った場合によって、その額は大きく変わります。
積極的損害
「医療費」と「子供の学習費」を損害賠償として請求することができます。後遺症が残った場合は、住宅や自動車の改造費、介護に掛かる費用を請求することができます。
消極的損害
怪我で仕事が出来なくなった期間があれば、「休業補償」を請求することができます。
後遺症が残った場合は、その後遺症が無ければ本来得られたであろう利益(給与や事業利益)を「逸失利益」として請求することができます。
精神的損害
その怪我によって精神的に負った損害を「慰謝料」として請求することができます。