加害者が飲酒運転により事故を起こした時、加害者は被害者に対して損害賠償を支払うことになります。
ただ、これは事故の損害に対して加害者として損害賠償を支払う義務があるというだけで、お酒を飲んでいたかどうかは関係ありません。
もちろん、加害者が加入している車両保険など、自分の損害に対して支払われる保険金は別です。飲酒のような明らかな過失が加害者にある場合、保険金が加害者のために支払われることはありません。また、被害者に過失があったとしても加害者に飲酒の事実があれば、過失相殺により損害賠償を減額される割合についても相当厳しい判断がくだされることになります。
強引に飲酒をすすめた人がいる時
それでは、加害者が飲酒を強く拒んでいたにも関わらず、第三者が強引に飲酒を強要した場合はどうでしょう。
この場合は、第三者の強要度合いにもよりますが、加害者と同様「共同不法行為者」として、刑事、民事の両面で責任を問われることになります。
通常であれば、「誰それにお酒を強要された」というような事は言わないものですが、事故ににより自分に損害賠償の責任が負わされそうになった場合は別です。
加害者は必死に自分の責任を免れようとする
なんとか自分の支払額を減らそうと、「自分がどれだけ飲酒を拒んでいたか」、「第三者がどれだけ強引に飲酒を進めていたか」無い知恵を絞って必死に弁解しようとするはずです。
この弁解がある程度警察に認められると、第三者にも「道路交通法違反」として刑事責任が問われます。交通事故の場合、これは同時に民事責任にも波及するという意味を持ちます。
この事実が被害者に知られれば、当然第三者にも損害賠償の請求が行われることになるでしょう。
この時の損害賠償の支払い割合は、「どれだけ加害者に強引に飲酒を進めていたか」、「事故の時の運転にどれだけ関わっていたか」といった事を総合的に判断されて決められます。
他人の起こした事故で自分の人生が大きく狂う
会社の飲み会などで「ちょっと今日は車なんです」という部下に対して強引に飲酒を進める上司がいます。これはパワハラとなるだけでなく、立派な「道路交通法違反」です。もしこの部下が帰り道で大きな事故を起こした場合、上司にも刑事責任とともに膨大な額の損害賠償が請求される事になります。
「他人の不注意による事故で自分の人生が大きく狂ってしまうなんておかしい!」と、その時になって慌てても遅すぎます。これから運転する予定のある人に飲酒を強要するのはやめましょう。