高速道路を走っていて複数の車による玉突き事故に巻き込まれた時、交差点で複数の車による衝突事故に巻き込まれた時、事故の責任はどのように配分されるのでしょうか。
また、タクシーに乗っていて後ろから追突された時、車の事故に巻き込まれた歩行者が怪我を負った時も事故の責任配分が複雑になります。
被害者は加害者全員に対して損害賠償を請求することができる
被害者の立場からみると、誰にどれだけの責任があるか一概には分かりません。また誰にどれだけ責任があるかは被害者には関係のない事です。
複数の加害者による事故の場合、それぞれのドライバーに「共同不法行為」として事故の責任があります。
そのため、その中の一人に対して代表して損害賠償を請求することもできますし、誰に請求していいか分からない場合は、全員に対して損害賠償を全額請求すればいいのです。
ただし、損害賠償の二重取りはできません。誰かが代表して損害賠償を支払えば、その他の人からあらためて支払いを受けることはできません。
損害賠償を支払った人は、後で加害者の間で話し合い、事故の責任に応じて損害を分担します。
自賠責保険の被害者請求を使う
加害者が複数人の場合、支払いがスムーズに行われるとは限りません。中には、自分に責任はなかったとしてゴネる人もいますし、自分は被害者だと言い張って、逆に損害賠償を請求する人もいるでしょう。
こうなってしまうと中々賠償請求が進まなくなります。ただし、こういった場合に備えて、自賠責保険には「被害者請求」という制度が組み込まれています。
この被害者請求は、加害者への賠償請求は維持したまま、自賠責保険の限度額内で事故の補償を受けることができる制度です。
物損事故の場合、被害者請求は使えない
物損事故の場合は、自賠責保険の被害者請求は使えません。複数の車が絡んだ事故により、車が店舗に突っ込んでお店を壊してしまった場合、被害者は加害者全員に対して損害賠償を請求することができます。
人身事故の時と同じく、加害者一人に対して請求してもいいですし、加害者全員に請求することもできます。当然、損害賠償の二重取りもできません。誰か一人の加害者が代表して損害賠償を支払った場合、その後、加害者の間で損害額を分担し合うことになります。
加害者の場合、事故の過失に応じて損害賠償を支払う
複数の車が絡んだ事故により、自分の車が店舗に突っ込んでお店を破壊した場合。自分は事故の被害者だと思っていたとしても、店舗の持ち主から損害倍書を請求されることがあります。
例え事故の大きな原因が相手にあったとしても、店舗の持ち主にとってはどちらも「共同不法行為」として加害者となります。
こういった場合は、自分の過失割合に応じて店舗の損害賠償を支払い、自分の車の損害に対しては事故の相手に請求することになります。
どちらの車も道路を走っている時、片側だけに全ての責任が負わされる事は稀です。通常は、前方の注意義務を怠っていたとか、車間距離が短すぎたという理由でぶつけられた方にもいくらかの過失が負わされます。
この割合に応じて事故の損害賠償の額も決められますので、事故に遭った時はその場の状況を証拠として残しておくことが重要になります。
例えば、ドライブレコーダーを常備しておくとか、スマフォのカメラで状況を撮影しておく、また目撃者の住所と名前をメモしておくのも良いでしょう。