普通、車のシートレイアウトと聞くと、2人乗りなら「横に2つシートが並んだもの」とか、5人乗りなら「前に2つシートが並んで、後ろに3人座れるベンチシートが装備されたもの」と考えます。
また、最近ではミニバンタイプの6人乗りや、7人乗りといった多人数乗りのタイプの車が人気ですが、これも、普通のリアシートの後ろにさらにもうひとつ、横に2人座れるようにサードシートがレイアウトされているだけです。
ただ、このような常識的なシートレイアウトだけではなく、世の中には「あっ」と驚くようなユニークなシートレイアウトを取り入れている車もあります。
目次
- ドイツの「メッサーシュミット」のシートは、まるで戦闘機
- ホンダ「Edix」はユニークなV型シート
- トヨタ「iQ」は3+1
- 3人乗りの初代「フェアレディ」
ドイツの「メッサーシュミット」のシートは、まるで戦闘機
例えば、ドイツのメッサーシュミット「KR175(1953年)」ですが、この車は2人乗りといっても横に2人が並んで座るのではなく、飛行機のように縦に2人が並んで座るという特殊なシートレイアウトがとられていました。
このメッサーシュミットという会社、実は、元々は飛行機を作る会社だったのですが、その出自を聞けばこの奇妙なシートレイアウトも納得がいきますね。
ホンダ「Edix」はユニークなV型シート
また、ホンダの「Edix」という車は、6人乗りのコンパクトカーとミニバンの間のような奇妙な形をした車ですが、そのユニークなポイントはスタイルではなく、シートレイアウトにあります。
前に3人、後ろに3人という特殊なシートレイアウトを取りますが、ただ3人が横に並んで長いベンチシートに座るのではなく、それぞれのシートが完全に独立しており、中央のシートだけが座席半分ほど後退した状態でレイアウトされています。
これにより、隣のシートはギリギリのところに設置されているにも関わらず、「感覚的にはゆったりと座れる」という効果があります。
トヨタ「iQ」は3+1
その他にはトヨタの「iQ」という車も、ユニークなシートレイアウトを持つ車の一つです。トヨタ「iQ」は全長3Mという小さなボディながら、なんと大人3人と、子供1人を乗車させる事ができます。
そのからくりは、まず助手席を座席半分ほど前方にずらし、そのスペースを使ってリアシートに大人の座れるスペースを確保します。次に、運転席はステアリングコラム等があるため通常のポジションとなりますが、わずかに残された運転席後ろのスペースを使って小さな子どもを座らせるというものです。
この「iQ」は今でもたまに路上で見かける事がありますが、その小ささと奇妙なプロポーションに何度みても「えっ」という驚きがあります。
3人乗りの初代「フェアレディ」
最後に紹介する車はオープンカーの初代「フェアレディ」です。この車は3人乗りですが、フロントシートの二人はマツダ・ロードスターと同じように横に並んで乗り込みます。3人目の乗員は「Edix」のように真ん中にのる訳でもなく、「iQ」のように助手席の後ろに乗り込むわけでもありません。
初代「フェアレディ」のリアシートは大人が普通に乗り込むには狭すぎたため、なんとか一人だけでも乗せようと苦肉の策で、横向きにシートが装備されていました。つまり3人目の乗員は進行方向に対して横向きに乗り込む事わけです。
フロントシートで楽しく会話する二人を横目に、乗り心地の悪い横シートで我慢するなんてちょっと寂しい感じもありますね。