1980年代、高度成長期からバブル景気に向けて日本経済が絶好調だったころ、福岡県天神町にオープンした商業ビルでは、オープンにあたって大勢のお客さんを集めるため、一風変わったオープニングイベントが企画されました。
壁面を走るビートルをプレゼント!
それは、黄色いフォルクスワーゲン・ビートルが縦横無尽に商業ビルの壁面を走り回るというものです。ただ、実際には、技術的な問題や安全面での配慮によって当初の予定は修正され、壁面にビートルが張り付いているだけというものになりました。
それでも、「商業ビルの高い壁面に鮮やかな黄色いビートルが取り付けられている」というインパクトは絶大で、当初の目論見通り、多くのお客さんを集めることに成功しています。
加えてこの黄色いビートルは、抽選により1名のお客様にプレゼントされる事になっており、抽選に参加した人たちに大きな刺激と興奮をあたえていました。
安全のためにエンジンが外されていた
この黄色いビートルですが、実はビルの壁面に吊り下げる前にエンジンなどの重量物が取り外され、500kg程度に軽量化されていました。というのも、完成品のままでは重量がありすぎて危険だと判断されたからです。
加えて万が一の事を考えて2億円の保険が掛けられていました。自動車の価格だけで2億円はありえませんので、この万が一というのは、お客さんを巻き込んだ時の事を想定していたのでしょうか?ちょっと今では考えられないような大胆な企画ですね。
壁面に貼り付けられ「トヨタ iQ」
この壁面に自動車を貼り付けるという企画は、なぜか人々に人気があり、現在でも時々、新車販売イベントなどで行われることがあります。
2008年に行われた「トヨタ iQ」の発売イベントでは、東京銀座のソニービル壁面に「トヨタ iQ」が貼り付けられ、壁面を道路と見立ててダンスを踊るというイベントが行われています。
ダンサーの人たちは普段このようなイベントを行ったことがなかったようで、シルク・ド・ソレイユのように華麗に踊るというわけにはいかず、ちょっとおっかなびっくり踊っていたのが印象的でした。
宇宙から地球に着陸する「アウディ TT」
また、2015年には、同じ東京銀座のソニービルが使われ、壁面に「アウディ TT」が貼り付けられるというイベントが行われました。これは、「アウディ TT」の発売を記念して行われたイベントで、宇宙から地球に着陸した「アウディ TT」というコンセプトで作られたものです。
ポジションマッピング技術により、壁面に宇宙や着陸のための滑走路が表現され、あたかも「アウディ TT」が宇宙から地球へ着陸したかのように感じられる演出が行われていました。