自動車で市街地を走行していると、頻繁に停止や徐行を繰り返すことになるため、低速域走行やストップ&ゴーが苦手なガソリン車の場合は大きく燃費が悪化してしまいます。
特に停車時はエンジンが空回り(アイドリング状態)しているだけとなるため、燃費効率は最悪です。
これに対してハイブリッドカーは、こういったガソリン車の欠点を改善するために開発された技術であるため、ガソリン車と比べると高い燃費効率の良さを誇ります。
目次
- ハイブリッドカーはガソリン車が苦手とする状況を補う
- ガソリン車は低速域からの加速が苦手
- ガソリン車は低負荷状態で大きくエネルギー効率が落ちる
- ハイブリッドカーは高速走行時の余剰エネルギーを使って充電する
- アイドリング時のエネルギー効率は最悪
ハイブリッドカーはガソリン車が苦手とする状況を補う
ガソリンエンジンの燃費効率が特に下がる状況としては、「アイドリング運転」、「加速時」、「低速域での走行」、「高速域での一定速度走行」などが挙げられます。
このようなガソリンエンジンの苦手する状況を克服するために考え出されたのが、電気モーターとガソリンエンジンを併用した「ハイブリッドカー」です。
ガソリン車は低速域からの加速が苦手
ガソリンエンジンの場合、加速時には大きなパワーが必要となるため、急激にシリンダー内にガソリンを供給してエンジンを回します。しかし、一般的にガソリンエンジンは低速回転からの加速が苦手で、ある程度エンジンの回転を上げてやらないと大きなトルクやパワーを得ることができません。
そのため、一時的に燃費効率が悪化してしまうのですが、ハイブリッドカーではこの低速域からの加速に電気モーターを使うことで、力強いトルクと燃費効率の向上を両立することができます。
電気モーターはゼロ発進時から大きなトルクを得ることができ同時にエネルギー効率も高い(電気モーターは全域で95%以上のエネルギー効率)ため、ガソリンエンジンのように無駄なエネルギーを投入する必要がないからです。
ガソリン車は低負荷状態で大きくエネルギー効率が落ちる
ガソリンエンジンは加速時だけでなく、負荷の低い時にもエネルギー効率が落ちてしまいます。
そのためハイブリッドカーの場合は、負荷の低い低速走行時に「電気モーターだけで走るモード」を増やすことでエネルギー効率を向上させています。
ハイブリッドカーは高速走行時の余剰エネルギーを使って充電する
エンジンの負荷が下がる状況でもう一つ忘れてはならないのが、一定速度による高速走行です。
この時、ガソリンエンジンには少量の燃料しか供給されないため、絶対的な燃料消費は少なくなりますが、それ以上に燃料に対して得られるエネルギーが少なくなるため、「エネルギー効率」として考えると今ひとつです。
ハイブリッドカーはこの負荷の下がったエンジンをある程度回してやることでエネルギー効率を高め、その余剰エネルギーを使って電気を生み出しバッテリーに蓄えます。
ただ、この走行モードはバッテリーがいっぱいまで充電されてしまうと使えませんので、一般的に高速走行が連続するハイウェイでの走行は、ハイブリッドカーにとって苦手な分野となります。
アイドリング時のエネルギー効率は最悪
ガソリン車が信号機や渋滞などで完全に停止してしまうと、車は動いていないのにエンジンだけが空回りとなる「アイドリング状態」となります。
この状態は、燃料だけがバンバン燃やされるだけで車は動いていないので、エネルギー効率としては最悪の状況です。
こんな時、ハイブリッドカーはエンジンを完全に停止して、バッテリーだけで車内の電装機器を動かす「アイドリング・ストップ・モード」となります。ただし、バッテリー電力が不足している場合には、エンジンの回転をエネルギー効率の高いポイントまで高めて充電を開始することがあります。
このように、ハイブリッドカーはガソリンエンジンの苦手な分野を補うため、エネルギー効率を高めるように様々な工夫が施されています。
特に日本では低速で走る状況が多く高速一定速度で走ることが少ないので、まさにハイブリッドカーにとっては最適な国といえます。