最近の世界経済の落ち込みを受け、景気のいい話がめっきり聞こえてこなくなった中国ですが、ここに来てびっくりするようなニュースが飛び込んできました。
中国初のスーパーカー
自動車の総合ニュースサイト「Automotive News Europe」によると、中国の自動車会社「テックルールス」は、昨年ジュネーブモーターショーで発表したコンセプトカー「GT96」を元に、同国初のスーパーカーを開発しよとしているそうです。
そのために同社は、イタリアのデザイナーや技術者に開発のパートナーとなってくれるように要請していました。
やはり、マネのうまい中国でも急に一からスーパーカーを作るのは無理なようです。この辺りの事情は、自動車草創期の日本も同じですね。
開発パートナーはジウジアーロ親子!
その要請に応え、開発パートナーに名乗りを上げたのが、かの有名なカーデザイナー「ジョルジット・ジウジアーロ」とその息子の「ファブリツィオ・ジウジアーロ」です。
一昔前は、日本もジウジアーロ先生に随分とお世話になったものです。いすゞのピアッツァや117クーペ、スバルSVXなど思い出すだけでもワクワクする名車がいっぱいあります。しかし、ジウジアーロの息子さんもデザイナーだったとは初めて知りました。ネットで調べてみると「フォード・マスタング」のコンセプトカーも手がけているようです。
今回のGT96をじっくり眺めてみると、このマスタングに近いテイストを感じます。お父さんは名前だけ貸して、実際の作業は息子のファブリツィオ・ジウジアーロが担当しているのでしょう。
エンジニアリングは「LM ジアネッティ」
また、設計と製造にはイタリアのエンジニアリング会社「LM ジアネッティ」が協力します。「LM ジアネッティ」は、1996年に設立された会社で、フィアットやアバルト、アルファロメオなどの開発で知られている会社です。最近では、モータースポーツへの参加も行われています。
「LM ジアネッティ」は、小規模な連続生産に対応した設備を有しており、年間25台の生産能力があります。
イタルデザインは関係ない
ジウジアーロ親子は、それまで所有していたイタルデザインのデザイン部門とエンジニアイング部門を、ドイツのフォルクスワーゲングループ傘下のアウディに売却しています。
その後ジウジアーロ親子は、新たに「GFG プロジェッティ」という会社を設立しています。今回受注した「GT96」の開発はこの新しい会社で行われるのでしょう。
GT96は電気自動車?
中国初のスーパーカーGT96には、バッテリーユニットに電気を充電するため、小型のタービンを使って電気を発生させるパワーユニットを搭載しています。この説明から推察すると、レンジエクステンダー型の電気自動車ということになります。
搭載されている電気モーターは、このバッテリーユニットから供給される電気によって駆動されます。
テックルールスの担当者によれば、今後、パワーユニットの効率化のため、重量と車内スペースのさらなる削減が必要だと述べています。つまり、今のバッテリーパワーと、電気モーターの出力では目標数値に到達しないということです。
市販車はランボルギーニ・センテナリオ・クーペを上回る?
現在、テックルールス社は、イギリスのシルバーストーンで、GT96のプロトタイプをテストしていますが、市販される車両では、0-100kpn(毎時62マイル)加速で2.5秒の数値を達成させたいとしています。これはランボルギーニ最高の出力を誇る「ランボルギーニ・センテナリオ・クーペ」を上回る数値です。
ただ、センテナリオはガソリンエンジンで、GT96はゼロ発進の得意な電気自動車ですから、あながち荒唐無稽な話とも言えません。
また、世界市場での販売は2、3年ごを目標にしています。さらにその数年後には、小型量販車の大量生産を開始する予定もあるそうです。
このGT96で名前を世界中に売り、その後の小型車生産でしっかり儲けを出そうというビジネスプランでしょう。この辺りは、さすが商売のうまい中国人ですね。
(参考:Automotive News Europe)