ブレーキとMT車のクラッチは、ペダルを踏んだ力をフルードを通してブレーキやクラッチに伝え、作動させるという構造です。
そのため、ブレーキとクラッチの点検は、このペダルとフルード関係のチェックが中心になります。
一般的にペダルについては、遊びが大きすぎると故障に繋がると思われていますが、実は、遊びが全く無い状態も好ましくありません。
遊びが全く無い状態は、ペダルを常に少しだけ踏んだ状態と同じですから、自動車の機械部分に余計な負荷がかかり故障の原因となるからです。ペダルのチェックでは、この遊びの量が適正に保たれているかどうかがポイントとなります。
また、フルードにつては、リザーバータンクのフルード量を確認することで点検を行います。
フルードが極端に不足している場合は、フルードの補充だけでは無く、フルード周りに大きな故障が隠れている事も考えられます。
ブレーキのチェックの流れ
ブレーキを手で押す
エンジンを停止させてからブレーキを2、3度踏み込み、ブレーキペダルを手で押して、数ミリの遊びがあれば正常な状態です。
この時、遊びが多すぎればブレーキが効きにくくなり、逆に全く遊びが無い場合は常に軽くブレーキが掛かっている状態で、故障の原因となりますので、ディーラーや整備工場の整備士に修理を依頼してください。
ブレーキを足で踏む
次にエンジンを始動して、普段と同じように足でブレーキペダルを踏み込んでください。この時、踏み応えが頼りなく感じる場合は、ブレーキフルードに空気が混入しているかもしれません。また、その他の故障も考えられますので整備士による点検が必要です。
また、ブレーキを奥まで踏み込んだとき、床とブレーキの間に10センチ程度の隙間ができるのが正常な状態です。
ブレーキフルードのチェック
ブレーキフルードのチェックは、エンジンルーム内の運転席側の壁に設置されている、ブレーキのリザーバータンクをチェックします。この半透明の容器の中の液面が、基準線より上にあれば正常な状態です。
ただ、基準線より液面が下にあるかたといって、無闇にブレーキフルードを補充するのは危険です。その場合はすぐに整備士の点検を受けてください。
また、急激にブレーキフルードが減った場合は、なんらかの大きな故障が考えられます。そんな時は自動車を無理に動かさず、ディーラーや整備士に電話で相談したほうが安全です。
また、ブレーキフルードは定期的な交換が必要なパーツです。量は適正でも色が茶色に変色している場合は、ブレーキフルードがかなり劣化している証拠です。すぐに新しいブレーキフルードと交換してください。
クラッチのチェックの流れ
クラッチを手で押す
クラッチもブレーキと同じ要領で手で押してチェックします。遊びが1センチ程度あるのが正常な状態です。
クラッチを足で踏む
これもブレーキと同じ様に、足で踏んでチェックします。クラッチペダルはブレーキと違い、床まで踏み込むことができます。
次にエンジンを始動してギアを1速に入れ、徐々にクラッチを繋いでみます。この時、エンジン回転にいつもと違う異常な動きが無いか確認してください。またエンジン回転の変化に伴うクラッチペダルの高さの変化も、いつもと違いが無いか確認します。
クラッチフルードのチェック
クラッチフルードもブレーキと同じく、リザーバータンクの基準線より液面が上にあるかチェックします。
クラッチフルードも定期的な交換が必要なパーツです。色が茶色に変色している場合は、新しいクラッチフルードと交換してください。