ラリー車両のクラス分けと、初心者に最適なクラス【ラリー入門】

スバル・インプレッサ 555 WRC

ラリーカーの「クラス」は、その「排気量」と「駆動方式」、「車両規定」の組み合わせによって6つのクラスに分類されとります。

並びとしては、エントリークラスの「クラス1(JN-1)」から最高峰の「クラス6(JN-6)」まで、「数字が大きくなるほど上位クラスになる」という感じです。といっても、3つの要素を複雑に組み合わせて分類しているため、「一番排気量の小さいのが”クラス1”」といかないのが難しいところなんです。

今回は、そんな日本ラリー選手権の「クラス分け」について、詳しく解説しながら、「初心者に最適なクラス」についても紹介していきます。

スポンサーリンク

ラリーカーのクラス分け

ラリーカーのクラス分けについては、文章で長々と説明しても分かりにくいんで、項目ごとに分類してリストにしてみました。

※ちなみにリストの内容は、左から「排気量 > 駆動方式 > 車両規定」の順になってます。

  • クラス1(JN-1)
  • 1600cc以下 > 2WD > RPN 、AE(AEは、駆動方式や排気量を問わない)

  • クラス2(JN-2)
  • 1600cc超から2000cc以下 > 2WD > RPN

  • クラス3(JN-3)
  • 1500cc以下 > 2WD > RN、RJ

  • クラス4(JN-4)
  • 1500cc超から2500cc以下 > 2WD > RN、RJ

  • クラス5(JN-5)
  • 2500cc超 > 2WD > RN、RJ、RR(RRは排気量を問わない)

  • クラス6(JN-6)
  • 2500cc超 > 4WD > RN、RJ

      簡単にまとめるとこんな感じです。ここで、気になるのが、「ランエボ」や「WRX STI」にも搭載されるターボエンジンの扱いじゃないでしょうか。排気量が同じでも、ターボのあると無しじゃ動力性能が段違いですもんね。

      もちろん、ターボエンジンにも、自然吸気エンジンと比べてなるべく差が出ないようにと、細かな配慮がしてあります。一般的なレシプロエンジンの場合は、「排気量×1.7」を基準としてクラス分けのための排気量が計算されるんです(ちなみに、ロータリーエンジンの場合は「排気量×1.0」となります)。例えば、排気量660ccの軽自動車(2WDで車両規定はRPN)にターボチャージャーが付いている場合は、660cc×1.7で1122ccとなるんで、ラリーのクラス分けとしてはエントリークラスの「クラス1(JN-1)」に分類されます。

      スポンサーリンク

      ラリー初心者にオススメのクラスは「クラス1(JN-1)」

      初心者に最適なクラスとしては、「クラス1(JN-1)」あたりが一番のオススメです。ここに分類されるモデルは、「スズキ・スイフトスポーツ」や「マツダ・デミオ」、「スズキ・アルトワークス」なんかの、コンパクトカーもしくは軽のFF車が中心です。こういったモデルは価格が安く、税金やガソリンなどのランニングコストもそれ程かかりません。加えて排気量が小さいので扱いやすく、車両の動きも安定してるんで、技術を磨きながら楽しむのにピッタリっちゅうわけなんです。

      しかも、車両規定の「RPN」は、改造範囲が厳しく制限されているためマシンの製造コストが少なくて済みます。そういった意味でも「お財布に優しいクラス」ってことになります。

      「クラス1(JN-1)」の中でも軽自動車は、維持費が安くて扱いやすい

      「クラス1(JN-1)」は1600cc以下の2WD車が中心で、電気自動車やハイブリッドカー、燃料電池車なんかもこのクラスに入ります。先程説明した通り、「ターボチャージャー付きの軽自動車」もこのクラスです。

      その中でも特に「軽自動車」は、エンジンパワーが小さくても絶対的な車両重量が軽いため、重量あたりのパワー「パワーウエイトレシオ」が大きいです。そのため、数値から想像する以上の機動性を持っております。さらに税金や車両価格の安さを含めて、レースおよび維持に掛かる全体の費用(ランニングコスト)も上位クラスの車に比べると断然お安いんですねえ。そんなこともあって、ラリーをこれから始めようという人は、「クラス1(JN-1)」の中でも「軽自動車」を選ぶことが多くなっとります。

      「クラス1(JN-1)」は、表彰台を狙いやすい

      その他のメリットとしては、「クラス1(JN-1)」への参加者が他のクラスより少ないんで、相対的に表彰台を狙いやすいというのもあります。エントリークラスということで、「ステップアップしてより上位のクラスにいったり」、「様々な事情でフェードアウトしていったり」といった事がその原因でしょう。

      エントリークラスなんで、「出場しているドライバーのレベルが近い」ってのもありますね。

      「クラス1(JN-1)」は、クラッシュした時のダメージがでかい

      ただし、このクラスのデメリットとしては、「ボディサイズが小さいんで、クラッシュした時の被害が大きくなりやすい」というのがあります。まあ、最近は安全技術が進歩しているんで昔ほどの危険性はありませんが、心配な人はロールゲージなどでボディをしっかりと補強したり、同じクラスの中でもより安全性能の高いコンパクトカーを選ぶと良いです。

      スポンサーリンク

      「クラス2(JN-2)」のラリーカー

      「クラス2(JN-2)」は、排気量が1600cc超から2000cc以下の2WD(二輪駆動)で、車両規定は改造幅の狭い「RPN」となっとります。

      排気量は大きからず、かといって特別小さいわけでもない。日本の狭いラリーコースに適した、そこそこの排気量と適度なパワーがあるんです。ラリーに参加する車種も多く、出場台数からみても6つのクラス中「最多」となってます。

      ちなみに、出場する具体的な車種としては「86」や「BRZ」が一番多いですねえ(実際はどっちもほとんど中身が同じ兄弟車同士なんですけど)。

      「コンペティショナルモデル」なら価格が安い

      車両価格や税金、維持費などを諸々ふくめると、ランニングコストは「クラス1(JN-1)」よりも高くなります。が、メーカーが競技用車両のベースとして販売している「コンペティショナルモデル(競技に不要となるステレオやエアコン、パワーウィンドウなどの快適装備が除かれている)」なら、余計なコストが省かれている分安いんで「クラス1(JN-1)」に近い価格で購入できます。

      車両規定は「クラス1(JN-1)」と同じ「RPN」なんで、改造できる範囲が狭く、結果的にラリーカーに仕上げる費用も安くできるんです。

      「超」初心者にはオススメできない

      ただ、「車両価格を含めたランニングコストがそこそこ安く、パワーもそれなりにある」とくれば、このクラスに参加する車両もおのずと多くなっちゃいます。長年このクラスに参加し続けているベテランドライバーも多いんで、要求される技量も高い。とくれば、初心者がいきなり参加しても、表彰台を狙える可能性はほとんどありません。

      「超」が付く初心者には気安くオススメできるクラスじゃありませんが、ある程度の知識と経験を積んだドライバーが、次のステップを見据えて参加するには打って付けのクラスです。

      それから、参加する車両が多いということは、逆に言えば「その車両のために販売されるパーツやサービスも豊富に用意されている」ということになります。つまり、「予算と自分の好みに応じて、ラリーマシンを自由に仕上げられる」という事が割と簡単にできちゃうんですよねえ。

      「クラス6(JN-6)」のラリーカー

      「クラス6(JN-6)」は、日本ラリー選手権の中でも最上位に位置するクラスで、出場するラリーカーには最上位クラスにふさわしい大きなパワーが与えられとります。世界ラリー選手権(WRC)に出場するようなモンスターマシンが、「日本ラリー選手権」に出場する場合はこのクラスとなります。

      かつて、WRC(世界ラリー選手権)でライバル関係にあった「スバル WRX STI」と「三菱 ランサーエボリューション」ですが、実は、今でもステージを国内に変え、このクラスでしのぎを削り合っとるります。

      「クラス6(JN-6)」のラリーカーは高性能で高価!

      ラリーカーには、大排気量エンジンにターボチャージャーなどの過給器が組み合わされます。といっても、そんな大きなパワーを受け止めるには「二輪駆動(2WD)」では役不足なんで、多くの場合4WDシステム(四輪駆動)と組み合わされるんです。

      4WDシステムといっても、普通のミニバンなんかに付いてる「生活四駆」じゃありません。走行状況に応じて緻密にトルク配分を変化させる高性能な「4WDシステム」が装備されてます。ボディ剛性も高く、足回りも高性能なスポーツタイプなんで、とにかく車両価格が高いんですよねえ。タイヤもサイズが大きく高性能、ハイオク指定で燃費も悪い。加えて、ボディが重く排気量も大きいんで税金が高いんです。普段の維持費からレース参戦のための費用までをトータルで考えると、莫大なコストが掛かります。出場するドライバーやスタッフにも高度な知識やテクニックが求められるんで、個人が気軽な気持ちで参戦するのはちょっと厳しいクラスです。

      といっても、あなたがある程度のお金とスタッフを用意できる恵まれた立場にあるんなら、最終的な目標としてふさわしい最高峰のクラスだと思います。最終的な目標がすぐに達成できるようじゃ、つまりませんもんね。

      その他のクラス(クラス3~クラス5)

      最後に「おまけ」として、それ以外のクラスについても、ちょろちょろっと触れておきます。

      「クラス3(JN-3)」のラリーカー

      「クラス3(JN-3)」は、排気量1500cc以下で、二輪駆動。車両規定は「RN、RJ」となります。

      「トヨタ・ヴィッツ」や「ホンダ・フィット」、「マツダ・デミオ」なんかの庶民的なコンパクトカーが中心で、ボディが小さく取り回しも良いから運転しやすいクラスです。しかも、軽量なボディにそこそこパワフルなエンジンが載っかっているんで、車重に対するパワー、「パワーウェイトレシオ」が高く機動性に優れているのもこのクラスの特徴となってます。

      ストレートが短いとか、下り坂が多いなんて性能差の出にくいコースであれば、「より上級のモンスターマシンをカモる」なんてこともあるんです。いわゆる、「豆腐屋の86的な面白さ」が味わえちゃいます。

      ベテラン勢から初級者まで、幅広いレベルの選手が出場していますが、ドライビングテクニックが勝敗に占める割合が高いんで、ラリーを観戦するにしても選手として出場するにしても、どっちにしてもマニアックな楽しみのあるクラスです。

      「クラス4(JN-4)」のラリーカー

      「クラス4(JN-4)」は、排気量1500cc超から2000cc以下まで、駆動方式は自由。車両規定は「RN、RJ」。

      具体的な出場車両としては、「トヨタ・86」や「スバル・BRZ」、「ホンダ・シビックタイプR」なんかがあります。その中でも特に多いのが「トヨタ・86」と「スバル・BRZ」で、同じ車両の使える「クラス2(JN-2)」からのステップアップとしても最適です。

      「クラス5(JN-5)」のラリーカー

      「クラス5(JN-5)」は、排気量2500cc超で、二輪駆動。車両規定は「RN、RJ」、及び「RR」(「RR」の場合、排気量は問わない)。

      コンパクトなボディに、パワフルなターボエンジンを組み合わせたマシンが多く、具体的な出場車両としては、車両規定「RN、RJ」の「トヨタ・ヴィッツ GRMN ターボ」や「プジョー・208 GTi」。車両規定「RR」であれば「アバルト・500 ラリー R3T」や「シトロエン・DS3 R3 MAX」、「プジョー・208 R2」、「トヨタ・GT86 SC-R3」などです。

      この「RR」は改造の範囲が広く、これに該当するのは「WRC2」や「WRC3」なんかにも出場できるようなカリカリの「レーシングマシン」なんですねえ。

      ちなみに車名に含まれる「R3T」や「R3」、および「R2」は、国際自動車連綿「FIA」の定めるカテゴリーを表してます。「R3T」や「R3」の場合は、「グループR3」。「R2」の場合は「グループR2」といった具合です。

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)