ルノー スポール・スパイダー【旧型試乗】本質的な車の楽しさが味わえる [E-FF7R]

今回は「ルノー スポール・スパイダー パラブリーズ」を試乗レポートいたします。
このルノー スポール・スパイダーは、1996年にブランニューモデルとして登場し、1999年まで製造・販売されていたオープン2シータースポーツです。

ルノーはF1参戦の技術を使って本格的なスポーツカーを作りたかったのですが、そのまま作るとあまりにも価格が高くなりすぎるので、アルミスペースフレームとハニカム樹脂パネルが組み合わされる事で、軽量・高剛性のボディを実現しています。

ルノー スポ−ル・スパイダーの正面画像

ルノーのスポーツ部門である「ルノー・スポール」が初めて生産した市販車です。当初はワンメイクレースのために企画されたモデルだったので、フロントスクリーンすら装備されていませんでした。

この「パラブリーズ」はベーシックモデルの「ルノー スポール・スパイダー」に、フロントスクリーンや三角窓を装備して、一般道でも乗りやすいように改良が施されたモデルです。

母国のフランスだけではなく、ワンメイクレースの盛んなイギリスでも大きな人気を呼んでいました。

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外観

全長3,785mmX全幅1,835mmX全高1,220mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2,345mmとなります。

本来「ロードスター」と呼ばれるボディ形式は、サイドスクリーンを装備していない車の事です。そういった意味でもこの車は「本格的なロードスター」と呼べる数少ない車です。この他に思いつくのは「モーガン」や「ケータハイム・スーパーセブン」くらいでしょうか。

フロント

レーシングカーのようなアクリル製の簡素な作りのヘッドライトが装備されています。ゆったりしたフロントパネルの形状と相まって、ユーモラスでスポーティな独特の雰囲気を醸しています。

ルノー スポ−ル・スパイダーの前面画像

サイド

このルノー スポール・スパイダーはボディにアルミ製スペースフレームを採用しているため、ドア開口部を大きく切る事が出来ません。そのため、ドアを跳ね上げるようにして開閉するのですが、これが他の乗用車との大きな差別化となり、非日常感たっぷりで特別なかっこよさがあります。

ボディが薄く低重心に作られているため、大胆な形状のサイドエアスクープと相まってスポーティな印象のサイドビューです。

リア

ショルダーラインから流れてきたボディ形状がリアで丸く収束し、軽量で小気味いいスポール・スパイダーのキャラクターを存分に表現しています。

また、リアランプには4つの丸型ランプが装備され、ノスタルジックでスポーティな印象です。

ルノー スポ−ル・スパイダーの後部画像

樹脂製パーツを使うことで大胆な造形ができるところでは思い切ったスタイリングを与え、コストを抑えながらも個性的なスタイリングを成り立たせているところは、流石という他ありませんね。

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内装

足元にある剥き出しのアルミスペースフレームと、インパネ周りのシンプルでモダンなデザインの対比が印象的です。

フロントスクリーンのフレームと、背後にあるロールバーにより乗員はがっちりと保護されています。「ソートバン」と呼ばれるレース仕様ではこのフロントスクリーンが装備されませんので、快適性だけではなく、安全性を考えても「パラブリーズ」グレードがオススメです。

シートは薄型のレーシーなバケットシートが装備されます。サイドサポートがキツすぎるという事もなく、スポーツドライビングを快適に行うことができます。
表皮には適度なクッション性があるため、バケットシートでありながら快適性も備えるバランスの優れたシートです。

ほとんど剥き出しの室内、スパルタンな構造のボディにより静粛性などというものは望めません。ルノー スポール・スパイダーはエンジン音や風を楽しむタイプの車ですので、その点に不満を抱く人はいないでしょう。

小物入れも最小限で、マツダロードスターのような実用性はありません。まあ、手荷物などは助手席に置くことができますので、一人で乗る分にはそう困ることはありません。

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エンジンとミッション

1,998cc直列4気筒DOHCエンジンに、5速MTが組み合わされます。
エンジンは、150ps/6,000rpmの最高出力と、18.5kgf・m/4,500rpmの最大トルクを発揮します。車両重量は960kgとなります。

当時のルノー・メガーヌに搭載されていたエンジンと同じ「1,998cc直列4気筒DOHCエンジン」が、ドライバー後方ミッドシップにビルトインされています。

このエンジンは乗用車用のエンジンなので、特にこれと言った特徴がありません。ただ、軽量かつ重心の低いボディと組み合わさせることで、レスポンスの鋭いキビキビとしたドライビングが可能です。有り余るほどのパワーはありませんが、スポーツエンジンのようにピーキーな特性もありませんので、トルクフルで扱いやすいエンジンです。

組み合わされる5速MTはギアが適度にクロスしており、コクコクと節度あるフィールと相まって変速することが楽しくなります。

足回りとハンドリング

前後輪ともに、ダブルウィッシュボーン式サスペンションが装備されています。

軽量で重心の低いボディに、引き締まった足回りが組み合わされているため、ロールは最小限でボディの挙動もキビキビとしています。ドライバーの意思をダイレクトに伝えることができるため、狙ったラインを外すことはありません。また、路面追従性が高いため、うねりのあるカーブでも安定性を失うことはありません。

パワーステアリングが装備されないためハンドリングは重めですが、その分リニアでダイレクトなフィールが味わえます。

目地段差では衝撃を拾ってゴツゴツと振動を伝えますが、よくできたサスと高剛性ボディ、ルノー スポール・スパイダーならではのレーシーな雰囲気が相まって、不快に感じることはありません。

評価のまとめ

サイドスクリーンやウィンドウリフレクターが装備されていないため、風やホコリを巻き込んで乗員の顔はぐちゃぐちゃになります。

また、ルーフが無いので保管するためにはしっかりとした屋根付きの駐車場が必要になります。加えて荷物や人もほとんど積めないので、普段の足としてもう一台まっとうなセダンが欲しくなります。

そのため、普通の家庭持ちのサラリーマンであれば、所有することは難しいかもしれません。セカンドカーやサードカーとして真価を発揮する車です。

ただ、このルノー スポール・スパイダーには、その分、自動車好きが喜ぶ数々の美点が与えられているのも事実です。もし運良く奥さんの許可が得られるなら、思い切って購入することをお勧めします。また、中古で買っても構造がシンプルなため、メンテナンスをしっかりと行えば10万キロ以上を走行することも可能です。ランニングコストも外車にしては安めです。

価格

新車当時の価格 | 4,200,000円

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)